■あと2万アクセスで700万アクセスになる。退社までに、大台にのるよう、もう少しがんばろうかな。退社後は、一般ユーザーブログになるようだ。いきなり閉じたりしないので、引き続き見に来てやってください。失業記者の生態がわかるやもしれない。
■前回エントリーでは、チベット族女流作家ツェリン・オーセルさんの著書「殺劫」について紹介したが、本当なら今月中旬(16日)
、オーセルさんの夫、王力雄さんが来日して、同書のプロモーションをかねて東京工大で講演会を行う予定だった。私もその機会にインタビューしようと思っていたのだが、それがドタキャンになった。これはすごく残念だ。そのかわり16日には東工大で王さんのビデオレターが公開されるらしい。
■彼の訪日がなぜキャンセルになったのか。ひょっとして日本側がビザを出し渋ったのかと心配した。王さんは4月から親族訪問のために米国に行っていた(弟さんが米国在住なのだ)。へぇ~、ああいう敏感な作家も出国できるのだと、驚かれるかもしれないが、王さんくらい著名になると当局も簡単に手出しできないし、むしろ6月4日の天安門事件記念日などは海外にいてほしいくらいなのだ。今年は天安門事件20周年、国内はひときわ過敏になっている。
■で、米国から中国にもどる途中で、日本に立ち寄る予定だった。だから、いわゆる中国当局による出国妨害というのはない。あるとしたら、日本側のビザ発行の問題だ。
■偶然なのか、10月30日、早稲田大学での講演が予定されていたチベット人作家ザシダワ氏の来日もドタキャンになっていた。ザシダワ氏は、謝飛監督の映画「チベットの女、イシの生涯」の原作「冥」で、日本でも知るひとぞ知る著名作家、チベット作家協会会長だ。つまり、当局もみとめている作家である。彼も中国に出国妨害されるいわれはないので、やはり日本側の問題かと気をもんだ。ひょっとしてチベット関連作家の来日を日本政府はいやがっている?いや、まさか。ダライ・ラマ14世も、ラビア・カーディル女史もちゃんとビザがおりて外国人記者クラブで講演なさったではないか。
■で、本当のところどうなんだ、と王さんを日本に呼ぼうと、骨をおっていた翻訳家の劉燕子さんに聞いたところ、王さん自身が訪日を見送りたいといってきたそうだ。なぜか。
■王さんは、米国滞在中に、チベット・サポーターに贈られる「真実の光賞」の受賞式に出席した。10月8日のことだ。チベットサポーターとしても知られる俳優、リチャード・ギア氏がチェアマンを務める「チベット国際運動」が主宰する賞で、昨年の3月14日に発生したラサ騒乱後に中国人知識人た連名で発表した「チベット情勢処理に関する12項目の意見」(2008年3月22日発表)に署名した中国人知識人を代表して起草者である王さんが賞を受けることになったのだ。
■このことが当然のことながら中国当局の逆鱗に触れ、再入国拒否にあうのではないか、との憶測がながれた。また、日本側の招待関係者から、来日はあくまで文学者としてきてほしい、少数民族問題について触れたり、メディアの取材を受けて招待機関(大学など)をトラブルに巻き込まないでほしい、といった要望があったうえ、ビザも3日間しかでないことがわかった。
■王さんとしては、こういう日本側の、中国当局に対する弱腰というか、気の使いっぷりが不安になったようだ。もし、日本経由で中国に入国すれば、再入国拒否されるのではないだろうか。そうなったら、日本はどういう対応をするだろうか、と。アメリカから直接帰国すれば、オバマ大統領訪中を控えて、中国も米国とトラブルを起こしたくないだろうから、すんなり入国させてくれる可能性が高い。王さんにとって中国は言論の不自由な国だが、愛する妻は出国できずに、監視下の北京で自分を待ち続けているのだから、なんとしても帰国せねばならないのだ。
■王さんは、今年4月に来日した結果、中国側から再入国拒否になった著名人権活動家、馮正虎さんに言及して不安を訴えたそうだ。馮さんは1989年の学生による民主化運動が始まった当時、民主化運動が弾圧される可能性があるという予測記事を発表した元中国企業発展研究所所長。以来民主化活動家として活動し、2001年には「不法な事業活動」で3年の懲役刑を受けている。今年2月に41日間、当局に監禁されたが、その後、6月4日がすぎるまで国外にでていることを条件に釈放された。(やはり国内で集会などされるより、海外にいてくれたほうが当局としてはいいのだ)
■馮さんは、日本留学経験があり、とりあえず日本に出たが、滞在中は、中国の民主化を訴える講演活動などを行っていた。しかし、約束の6月4日がすぎて7日、いざ中国に戻ろうとすると、上海の入管で入国拒否にあい、日本に強制送還された。その後も、再入国にトライしたがやはり拒否され、今も日本にいる。
■もし馮さんの出国した先が米国だったらどうだろうか。もちろん、米国であっても同じかもしれないが、馮さんの件について、もう少し政府側からアクションがあったかもしれない。たとえば首脳会談のさいに、馮さんが帰国できるようちょっとお願いするくらいはしたのではないか。
■米国だって、中国には配慮しているし、最近は弱腰が目だつほどになったが、やはり依然「自由と民主の国」というイメージは強い。私は米国政府が必ずしも普遍の正義を体現しているとは思わないけれど、多くの米国民には、例えそれが縁もゆかりもない外国であっても、基本的人権が踏みにじられている事実を知れば、嫌悪と批判の声を上げること臆さない善良さがあると感じている。
■だから、中国は米国との間で、人権問題が大きな火だねになりうることを知っている。その点については、日本政府と日本人が中国から甘く見られているということは、やはり否めない。実際、王さんは、米国から出国して、無事北京に戻ることができた。馮氏はいまだ上海に戻れない。王さんが日本を経由していたらどうなっただろうか。
■さて、オバマ大統領がアジア歴訪の旅の最初の地として日本を訪問した。首脳会談では、とりあえず、一番焦点となっている普天間基地問題はさけられ、日米同盟強化をアピール。原爆被爆地の長崎、広島訪問への意欲を示すなど、オバマ大統領側が、鳩山首相の顔をたてたようにもみえる。鳩山首相がいつも言及する「対等な日米関係」に関して、オバマ大統領は「過去および現在、そして今後も対等なパートナー関係」と強調した。
■対等って何だろう。オバマ大統領が「日米はずっと対等だったじゃないか」といっても、本当に日米が対等だと思っている日本人は少ないだろう。一方、鳩山首相の求める対等の定義もよく分からない。軍事力、経済力、外交力が対等という意味なのか。それなら、日本も米国に匹敵する軍事力もたなきゃ。でもそれは無理。それら対等の能力をもっても、価値観が違い信頼関係が築けない場合は、お互いの脅威となる。米中の関係は、いくら仲良さそうにしても、やはり基本的には戦略的ライバル関係にある。
■では日本は、米国とそういう緊張を伴う対等関係になりたいのか。そうじゃないだろう。だから同盟が基軸と言い続ける。ようするに、米国にもうちょっと、オレのことちゃんと見ろよ、対等なんだから、頼りにしてくれよ、といいたいのいか。あるいは、他の国、中国や東南アジア諸国に、おれは米国とは対等なんだ、子分じゃないんだ、とアピールしたいのか。
■もし米国に対して、もっと頼りにしてくれよ、友達だろ?といいたいなら、今の対米外交のやり方は反対方向に突き進んでいるようにみえる。ほんと、おめえ、頼りになんないよ、と思っているだろう。もし中国や東南アジア諸国にオレは米国と対等なんだ、といいたいなら、米国に啖呵切ってみせるのではなく、中国や東南アジアにそれを認めさせるような言動をしなくてはならない。
■いつもどこかで戦争してるような好戦的な米国だが、米国なら、アメリカ人なら、人権問題に対して関心をもち、行動するだろう(それがときに思いこみであることもあるが)ということも国際的に広く認知されている。
■中国人自身だって米国を頼りにしている。亡命するなら米国だ。実際、米国はこれまで政治犯として不当に拘束されたチベット僧侶やキリスト教司教の釈放を首脳会談の場で言及することもあった。日本の首相が首脳会談でそんな話した例は聞いたことがない。日本人だって、日本の首相が拉致問題解決への努力を約束するより、オバマ大統領が「拉致問題が解決しないと、北朝鮮の近隣諸国との関係正常化がない」と断言してくれたことの方が、なんか心強く感じたのではないだろうか。
■米国だって差別はあるし人権問題はある。おかしな戦争もしている。しかし、それらについて、一番批判の声を上げているのも米国人である。米国が人権問題について敏感であるというのは、米国一般市民が、やはりそういう問題に敏感であり、その期待を裏切る大統領は選挙に落ちるという民主主義があるからだ。
■ようするに何が言いたいかというと、日本が米国と対等の国と国際社会から認められるには、日本の普通の人が世界の人権問題や民主化にもっと関心をよせるべきだということだ。特に、経済活動や軍事力の拡大で強大な影響力を持つ中国に対しても、言うべきことは言える強さを日本が持てるとき、国際社会(中国人も含む)が、米国だけじゃない、日本も頼りになるな、と感じるのではないか。
■中国が何も言っていないうちから、中国に気をつかったり、中国人人権活動家の講演内容に注文をつけたり言動を制限したりするような国はとてもとても、米国と対等にはなれないと思うのである。


by sylvana
ただいま~、本を二冊ばかり出…