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あれ?世論調査データがネットで公表されていない。

2008/12/02 11:55

 

■1日は産経FNN合同世論調査のデータ打ち込みなどのために、本社で仕事をしていた福島です。麻生内閣支持率ががくっとおちていたので、ちょっとびっくりです。しかし、ネット上では、全調査結果でていないですね。せっかく打ち込んだのにもったいない。というわけで、ブログでアップしておきます。( )の中は9月25日に同じ条件で調査した結果です。

 

 

■【問】麻生内閣を支持するか
・支持する               27.5%(44.6%)
・支持しない              58.3%(35.7%)
・わからない、どちらとも言えない    14.2%(19.7%)

 

 

 

 

 

■【問】次のうち、どの政党を最も支持するか
自民党                26.7%(31.7%)
民主党                23.6%(25.9%)
公明党                  4.1%(4.1%)
・共産党                  2.6%(2.5%)
社民党                  1.9%(1.3%)
国民新党                 0.4%(0.1%)
・改革クラブ                -   
新党日本                 0.1%(0.1%)
・その他の政党               0.4%(1.0%)
・支持する政党はない          38.4%(32.3%)
・わからない、どちらとも言えない      1.8%(1.0%)

 

 

 

 

■【問】麻生政権について、次に挙げるものを評価するか
《首相の人柄》
・評価する      33.1%・評価しない     56.7%
・わからない、どちらともいえない。          10.2%
 

 

 

 

 

《首相の指導力》
・評価する      15.8%・評価しない     71.9%
・わからない、どちらとも言えない。         12.3%
 

 

 

 

 

 

《外交政策》
・評価する      28.3%・評価しない     47.6%
・わからない、どちらとも言えない           24.1%
 

 

 

 

 

 

景気対策》
・評価する      16.2%・評価しない     71.3%
・わからない、どちらとも言えない。          12.5%
 

 

《発足2カ月での実績》
・評価する      12.7%・評価しない     70.6%
・わからない、どちらとも言えない           16.7%
 

 

 

 

《改革への意欲》
・評価する      40.7%・評価しない     47.5%
・わからない、どちらとも言えない           11.8%
 

 

《麻生総理の言動》
・評価する      12.6%・評価しない     78.4%
・わからない、どちらとも言えない            9.0%

 

 

 

 

 

 

■【問】次のうち、麻生政権に最も期待する政策は
・食の安全などの消費者政策               4.5%
・医療・年金などの社会保障              22.8%
北朝鮮問題の解決                   3.3%
・経済格差の是正                    9.3%
・消費税などの税制改革                 4.3%
地球温暖化対策                    1.9%
・財政のムダづかいの見直し              20.7%
景気対策                      25.7%
・治安・安全対策                    2.4%
・わからない、言えない                 5.1%
 

 

■【問】会期が延長された今の臨時国会について、次に挙げる考え方は当てはまると思うか
《インド洋での海上自衛隊による多国籍軍への給油活動の延長法案を成立させるべきだ》
・思う        43.0%・思わない      41.3%
・わからない、どちらとも言えない           15.7%
 

 

《消費者庁の設置法案を設立させるべきだ》
・思う        52.2%・思わない      25.5%
・わからない、どちらとも言えない         22.3%

 


景気対策のための第2次補正予算案を年内に提出すべきだ》
・思う        78.1%・思わない      15.4%
・わからない、どちらとも言えない            6.5%
 

 

 

《麻生首相と小沢代表の党首討論をもっと行うべきだ》
・思う        67.1%・思わない      27.1%
・わからない、どちらとも言えない            5.8%
 

 

 

《麻生首相は、今の国会終了後、できるだけ早く内閣改造を行うべきだ》
・思う        64.3%・思わない      27.1%
・わからない、どちらとも言えない            8.6%

 

 

 

■【問】景気対策として配布の方針が決まった「定額給付金」について、次に挙げる考えは当てはまると思うか
 

景気対策の方法として適切》
・思う        18.3%・思わない      76.9%
・わからない、どちらとも言えない            4.8%


 

《いわゆる「ばらまき」政策で好ましくない》
・思う        78.7%・思わない      17.3%
・わからない、どちらとも言えない            4.0%
 

 

《制限をつけず全国民に配布すべきだ》
・思う        47.8%・思わない      48.5%
・わからない、どちらとも言えない            3.7%
 

 

 

《麻生政権の配布の規準の決め方は適切》
・思う        18.2%・思わない      72.5%
・わからない、どちらとも言えない            9.3%

 

 


《配布が来年春以降になるとすれば遅すぎる》
・思う        56.5%・思わない      31.7%
・わからない、どちらとも言えない           11.8%
 

 

 

《給付が決まれば受け取ろうと思う》
・思う        88.3%・思わない       7.6%
・わからない、どちらも言えない             4.1%

 

 

 

■【問】次に挙げる与野党の政治家のうち、いまの日本の首相に一番ふさわしいのは
麻生太郎氏8.8%(22.6%)・石破茂氏3.3%(1.6%)
石原伸晃氏5.4%(3.9%)・小池百合子氏4.7%(4.7%)
与謝野馨氏2.9%(2.2%)
小泉純一郎氏11.5%(13.2%)
・その他与党議員4.1%(1.5%)
小沢一郎氏11.4%(16.1%)・菅直人氏3.7%(3.0%)・鳩山由紀夫氏3.4%(1.7%)・岡田克也氏3.3%(2.1%)
前原誠司氏2.3%(1.6%)
・その他野党議員2.4%(2.5%)
・ふさわしい人はいない29.2%(18.4%)
・わからない、言えない3.6%(4.9%)

 

 

 

 

 

■【問】麻生首相と民主党・小沢代表を比べて、次にあげるイメージにより当てはまるのはどちら
《主張に説得力があるのは》
・麻生首相      27.9%・小沢代表      51.5%
・わからない、どちらとも言えない           20.6%
 

 

党首討論に強いのは》
・麻生首相      26.7%・小沢代表      53.7%
・わからない、どちらとも言えない           19.6%
 

 

 

《政策がよいのは》
・麻生首相      28.3%・小沢代表      36.4%
・わからない、どちらとも言えない           35.3%
 

 

《信頼できるのは》
・麻生首相      31.4%・小沢代表      29.7%
・わからない、どちらとも言えない           38.9%
 

 

 

《「選挙の顔」として魅力的なのは》
・麻生首相      42.1%・小沢代表      30.0%
・わからない、どちらとも言えない           27.9%
 

 

《首相にふさわしいのは》
・麻生首相      31.5%・小沢代表      32.5%
・わからない、どちらとも言えない           36.0%

 

 

 

■【問】現在の衆議院議員の任期は来年秋までだが、次期衆院選はいつ行うのが適切か
・年内        14.8%・年明けすぐ     28.4%
・来年前半      27.2%
・任期満了、またはそれに近い来年後半         25.7%
・わからない、言えない                 3.9%

 

 

 

 

■【問】次期衆院選で、次に挙げる考えは当てはまるか
《11月までに衆院選を行っておくべきだった》
・思う        49.9%・思わない      41.3%
・わからない、どちらとも言えない         8.8%

 

 


景気対策を実行した上で衆院選を行うべきだ》
・思う        73.7%・思わない      19.9%
・わからない、どちらとも言えない            6.4%

 

 

 


アメリカ大統領選の結果は影響すると思う》
・思う        59.4%・思わない      35.4%
・わからない、どちらとも言えない            5.2%

 

 

■【問】次期衆院選後に期待するのはどんな政権か
自民党を中心とする政権         21.4%(24.1%)
民主党を中心とする政権         29.4%(32.1%)
・自民・民主両党が参加する大連立政権   42.4%(38.5%)

・わからない、言えない            6.8%(5.3%)

 

 

 


■【問】麻生首相の自民党総裁としての一期目の任期は来年秋までだが、麻生政権はどれくらい続くと思うか
・次期衆院選前に交代                 19.5%
・衆院選挙の結果を受けて交代             52.8%
・来年秋の任期いっぱいで交代             17.8%
・来年の秋以降も続く                  6.1%
・わからない、言えない                 3.8%

 

 

■【問】あなたは自分自身が「無党派」と思うか
・思う        60.5%・思わない      35.7%
・わからない、どちらとも言えない            3.8%

 

                      ()内は前回の数字。
                ◇               
 ■世論調査の方法 調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。調査対象は全国の成年男女1000人。
 

 

*赤字消しました。コスプレイさんが、コメントで現場の記者の感想を書くなと、忠告されましたので。

 

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総理番のお仕事番外・中国は麻生首相をどう報道しているか。

2008/11/27 22:08

 

■先週末、夜回りのタクシーの中で、ラジオが流れていて、麻生首相の漢字が読めないことや失言・放言の多さについて、パーソナリティーとコメンテーターがこき下ろしていた。すごいな、公共の電波で自国の宰相をここまでばかにできるなんて、中国人記者が聞いたら目を丸くするだろう。かの国ではこのラジオの100分の1の毒や批判ですら、番組制作者のクビがとび、労教(労働教養所労働による思想改造施設)おくりになりかねない。

 

■で、そのラジオを聞きながら運転手さんにも聞いてみる。「麻生首相をどう思う?」。そうそう、北京でもタクシー運転手さんと、よくこんなおしゃべりしたなあ、と思い出しながら。中国のタクシー運転手さんにこういう質問をすると、共産党は汚職だけらけでけしからん、という話でもりあがる。公共の場では、共産党万歳といっていても、外国人に対しては、共産党への不満を隠さない。

 

 

■で、その日、私が乗りあわせたタクシー運手さんの麻生首相評とは、「とてつもない金持ちですけれど、まあ、頭は並以下の人ですな」というものだった。「漢字が読めないのは、官僚の作った文章をそのまま理解しないで読むから。思いついたことをぱっぱっといってしまう人だ」とも。

 

 

■福島「でも、ブッシュ大統領も失言で有名なんですよ。英語のスペルもよく間違って、ブッシュ英語と国民から笑われていたけど、8年も大統領勤めあげた」

運転手「ブッシュさんも頭が悪かった」

福島「だからアメリカの経済が悪くなった?」

運転手「麻生さんだと、日本の経済どうなるんですかねぇ。いまひとつ不安です」

福島「周囲のブレーンの意見に耳を傾ける柔軟さがある方が、なまじっかな切れ者よりいいうまく行く場合もある」

運転手「麻生さんの経済ブレーンって誰ですか」

福島「…誰だろう?与謝野さんとか?」

運転手「あまり、頼りになりそうではないですね」

福島「なら、民主党の小沢さんがいい?」

運転手「あの人はダメダメ」

福島「なぜ?」

運転手「小沢さんは本当にダーティな人。あんな人に任せたら日本は食い物にされる。頭はよさそうですが、腹黒すぎる」

福島「麻生さんはクリーンなのか」

運転手「まあ、もともととてつもない金持ちですから、そんなに金に執着するタイプではないでしょう」

福島「クリーンだけど切れ者でない、切れ者だけどダーティ、どちらかをリーダーに選ばねばならないとしたら…」

運転手「うーん、クリーンな方ですね」

このあたりは、いずこも同じ感情だろうか。

 

 

■閑話休題。国家指導者のイメージと外交について、今エントリーでは考えてみたい。日本では最近はもっぱら失言とか迷走とかのキーワードで、嘲笑の対象のように報じられることの多い麻生首相。海外で麻生首相はどんなイメージで見られているのか。特に、私の前の勤務地であった中国では、麻生さんはどんな評判なのか。まず、最近の中国記事で麻生首相ネタをひろってみる。

 

 

■環球時報の特約記者は、共同通信やワシントンポストを引用しながら金融サミットでの麻生首相について次のように報じていた。

「先週のワシントンで開かれた金融サミットでは、世界のメディアは日本にさほど注目しなかった。日本メディアはこれを反省の思いをこめて、宣伝不足だったとしている」

 

 

■「共同通信によれば麻生太郎ら20カ国の首脳が出席した金融サミットでは日本の存在感が非常に希薄であった。日本は世界第2位の経済大国であり、過去に金融危機を克服した経験もあり、今サミットでは主導的役割を果たすにたる十分な条件があり、麻生も勢いこんでワシントンにのりこんだというのに、彼の声はうもれてしまった」

 

 

■「金融サミットの宣言草案には日本の主張がちゃんと反映されていた。しかしサミットにおいて日本の影はうすかった。IMFに対する1000億㌦の融資の用意表明は、ワシントンですらニュースになっていない」

 

 

■「麻生はワシントンポストの取材を受け、1000億㌦の融資について宣伝したが、それは1行の記事にもならなかった。また麻生はウォールストリートジャーナル(アジア、欧州版)に投稿したが、その投稿も掲載されていない。サミット後の麻生の記者会見にも外国メディアは数社来たのみだった」

(以上引用)

 

 

■せっかくいい提案したのに、冷たくあしらわれてかわいそうだ、と言わんばかりの、そこはかとなく日本をフォローするような書き方だと感じないだろうか?しかも、ワシントンは日本に冷たいよ、といっている。(中国は麻生首相がASEMで北京にきたとき、特別の礼をもって遇し、CCTVで単独インタビューを流したのにね!といいたい?)

 

 

■次ぎに、中国論評ネットと呼ばれるネチズンの論文投稿サイトで、クローズアップされていた「麻生さんのために私はちょっといいたい」という論文。これは田母神論文が中国でも話題になったあとの普通の中国人(福建省の企業社員)の麻生評だが、かなり好意的。

 

 

■「麻生はかつて日本の政治家の中で、日本侵略の歴史を美化した右翼の代表的人物で、小泉政権の外相時期、中日友好協力発展会見を破壊せんとする言論を絶えずしており、このため中国人民の目からみてまったくよい印象はない」

 

 

■「麻生が親中派の福田首相の地位を引き継いで以降、多くの中日関係筋は非常に心配した。麻生が昔のように中国に対し友好的でない態度なら、中国人民の感情を害して、また中日関係を深刻な試練にさらし、後退するのではないか、と」

 

 

■「いまのところ、麻生が首相になったのち、過去の中国に対する非友好的態度を継続していないだけでなく、中国との友好関係を強化しようという意思表示をたえずしており、実際に行動した。まず中国を訪問し、訪問期間を利用してメディア(CCTV)を通じて中国人民にむけて、過去の侵略の歴史に謝罪の意を表し、同時に中国改革開放以来の巨大な成果を賞賛し、中日民衆の多層的、多領域の交流と協力をもって共同発展の目標を実現せねばならないと語った」

 

 

■「これだけでなく、麻生は中国の力強い発展にたいして、脅威とみるどころか、日本の発展のチャンスであるとみている。とくに、着目にあたいするのは、田母神俊雄・航空幕僚長の侵略美化論文が発表されたのち、すぐに田母神俊雄の職務を解任した点である。かつ明確に田母神論文は不適切である、とした。戦後日本の歴史上、言論によって即刻免職となるのは非常に珍しいことだった。

 

(後略)

 

■だから、麻生さんはかつての鷹派右翼ではない、もう変わったんだ、日本と仲良くしよう~という結びになっているわけだ。こういう公のメディアの論評は中国の政策方針をかなり反映しているはずだから、中国としても麻生首相イメージアップをはかっているわけだ。極めつけが解放日報紙が報じた「麻生が漢字をしらないことから話はじめて…」という、上海国際研究院日本室副主任、廉徳カイ(王へんに鬼)氏のコラム。要約してみると。

 

 

■「中日は同文同種だろうか。反中的な人は、違うというだろう。しかし、漢字という点でいえば中日は少なくとも同文的であろう。」

 

■「4世紀ごろ、朝鮮人が日本に論語と千字文をもたらして以来、日本は漢字をずっと手放さず、漢字への尊重も弱まることなく、漢字をよく掌握しているものへの尊敬も変わらなかった。そしてつまるところ、それは中国文化への崇拝もゆらがなかったということである。漢字が一字もない文章は人に笑われる。最近麻生太郎がいつも漢字を読み間違っていることでメディアから批判をうけている」

 

■「もともと、マンガが大好きなこの方は、英語は通訳なしでオバマ次期大統領と会話するほどなのだが、どういうことか漢字が読めない。母校の学習院大学でおこなわれた中日友好交流活動のときも、頻繁(ヒンパン)をハンザツとよみ踏襲(トウシュウ)をフシュウと呼んだ。そのほか前場(ゼンバ)をマエバとよみ、有無(ウム)をヨウム、詳細(ショウサイ)をヨウサイとよむなど、高等教育を受けたようには思えない。そういうわけで、日本メディアが、太郎、マンガばっかりよまずに勉強せよ、と言うのも責められまい」
 

 

■「日本の首相の漢字読み間違いを、中国人が大騒ぎする必要もないのだが、しかし、中国を起源とする漢字がこのように今にいたるまで日本人に尊重されている、しかも依然としてそれは中国文化に対する尊重も含んでいるのである。麻生についていえば、彼の自民党所属派閥の会派名は為公会という。これは中国礼記中にある、天下為公の一句からとり、麻生自身、非常に論語など中国古典が好きだという。というわけで、中国人と日本人は同種ではなくとも同文的で、両国は文化上、分かち合うものが多い事は確かなのだ」

 

 

■「遺憾なのは、現在、同文といえども、その価値観においては共通ではない。麻生が漢字を正確に読めないというのは、今日の日本人の中国観の一側面を反映している。すなわち、日本人の漢字と中国文化に対する理解は、単に中国古典文化に対する尊敬の念を証明するだけで、現代の中国に対する理解を意味しているわけではない」


 ■「たとえば、論語や礼記が好きな麻生は、決して中国を理解しているわけではない。でなければ、先月中国で取材を受けたとき、鄧小平を国家主席などと言わなかったはずだ」

 

■「その実、この種の麻生現象は、決して個別の話ではなく、日本の誰もが米大統領の職務を取り間違えることはないのに、中国指導者の職務ははっきり知らないのは現実なのである。お互いのコミュニケーションが不足し、信頼できておらず、信頼醸成の妨げになる根本原因、それはとりわけ文化的価値観の共通認識の欠乏であり、しかもこれは安全上の困難な状況をももたらすのである。日本人にしてみれば、一衣帯水かつ同文同種の中国の台頭とインドの台頭を比べると、明らかに中国のほうが恐ろしく、彼らにとっては、隣人の中国よりインドの方が価値観上の遠い親戚みたいなものなのだ」


 

(後略、以上、誤訳御免)

 

 

■このコラムは、首相が漢字を読みまちがえていることから説きはじめて、日本の中国への無理解を嘆いている。ちょっと牽強付会という気がするが、さりげなく、麻生首相が論語や礼記に精通して、彼は中国通なんだよ~と訴えている。でも、麻生さん、北京で鄧小平のこと国家主席って、言い間違えていたんだ…、これは外交的に相当失礼なんだけれど、よく問題にもならず…ご無事でお帰りで。

 

 

■というわけで、中国における麻生報道はむしろ好意的。しかし麻生首相は本音は必ずしも中国に好意的ではない、とある外務省筋の人はいう。外相時代に中国に一度も行ったことがないし、そういえば10月の北京訪問でも「友好は手段であって目的ではない。目的は日中両国の共益だ」と、結構きついもの言いをしていた。それなのに、ここまで中国は露骨に秋波を送っているのだ。

 

 

■中国の外交というものをある程度ご存じの方には、この麻生主席プラスイメージ報道と日本へのラブコールの真意はうすうすおわかりだろう。

 

■中国の国家系シンクタンクのアナリストの言葉を借りれば、米中の経済関係とは、(高さの違う下駄をはくなどして)左右足の長さの違う状態で、タンゴを踊りつづけるような、極めて不安定、いびつな関係、一人がこけると、もう一人もこけて、なかなか立ち上がれないような関係という。

 

 

■人によっては、中国の経済的打撃は日本より軽い、米国のレームダックによって、次に台頭するのは中国を中心とする新興市場国、といった見方をする人もあるのだが、私は、中国が、今後の戦国時代のキーワードとなるとは思うものの、そんな甘い状況ではないと思う。

 

 

中国米国もその経済成長モデルに歪なところがあり、その歪さをお互いもたれあいながら、肥大させる関係で、もっとも巨大な共倒れの関係にあるのではないか。もちろん日本も米国ともたれ合う関係にあるが、もともとの経済成長モデルの歪さでいえば中国の方が規模が大きく、しかも、中国の場合、経済失速が即、政治、社会不安に直結する。知り合いの中国人記者は、日本の「消えた年金問題」発覚のとき、どうして社会保障庁に火がつけられないのか、私に聞いたが、おそらく冗談のつもりではない。

 

 

■そういう、目の前に深刻なリスクを認識し、これをいかに乗り越えていくか、最大の知恵をしぼって戦略的にあたらねばならない中国にとっては、最も頼りがいのある味方になりうるのが、日本であることは間違いない。米国がレームダックで、政権も民主党に変わる転換期だからこそ、日本を米国から引き離し中国陣営に引き入れるチャンス、とみていてもおかしくはなかろう。前にもいったが、民主党政権というのは中国と必ずしも相性がよろしくない。しかも、オバマ氏のような運動家だの人権派のイメージの人物は鬼門中の鬼門。

 

 

■国際関係はそう単純に割り切れたり分類できるものではないが、中国のスタンスは一貫して米一極体制を崩すことをねらった多極外交であったことをふりかえれば、三国志を生んだお国柄、今の状況をみて、天下三分の計、あるいは四分の計によって、この戦国時代を有利にわたるべし、と頭をひねっていることは想像にかたくない。

 

 

■麻生首相は、日米同盟の堅持、ドル基軸体制維持を何度も繰り返し訴え、金融サミットでも米国援護に徹している。でもオバマ新政権となったあかつきの米国がその日本の〝友情〝にきっちり応えてくれる義理堅さがあるか今のところわからない。そもそも、外交や国際関係に〝友情〝があるかも疑問だが。外交にあるのは、利害関係とあくまで国家利益を追求するエゴイズム。米国が日本よりも中国に接近する方が国家利益に合致すると判断すれば、日本は米国経済の立て直しに利用されるだけ利用されておわり、ということもあるかもしれない。杞憂だといいんだけどね。

 

 

■もちろん、中国も米国と同等かそれ以上のエゴイスティックな国であり、中国が親しげな様子を見せたり、妙に持ち上げるときほど警戒が必要なのは言うまでもない。が、それなら日本も徹底して国家利益を追求するエゴイスティックな国として、秋波を送ってくる中国を利用するぐらいの戦略をねってほしい。サミットやAPEC中国に存在感を奪われた、と嘆くだけでなく。知り合いの外務省の人は「北米2課をつぶして、その人員を中国に振り分けるくらい、真剣に対中外交戦略に力をいれるべきだ」と半分冗談で言っていたが、私はそれもアリかも、と思って聞いていた。

 

 

■金融サミットに出発する前、麻生首相は記者団に対し、「みんなのお役に立ちたい」とその抱負を語った。それが建前なのか本気なのか、表情からは分からなかった。でも、金融サミットは、ドル一極支配がくずれたのちの混沌の時代をいかに自国が有利にたちまわるか、各国の国家利益をかけた、硝煙のない戦場だ。表向きは国際協調を打ち出していても、そういうもんだろう。果たして首相は、天下分け目のいくさ場に赴く心境であったのだろうか。

 

 

■首相周辺によれば、1000億㌦のIMFへの融資のねらいは外貨準備の手堅い運用だという。それも悪くはないが、いずれは来るIMF改革において、日本の立ち位置が有利になるような、中国やアジア諸国を味方につけられるような根回し外交を実はばっちりやっていました、ということであれば、漢字を読み間違ったり放言の連発程度は何の失点にもならないと思う。

 

 

 

http://world.huanqiu.com/roll/2008-11/290361.html

 http://www.gzxw.com.cn/news/world/2008/11/21/18141930.html

 

 http://edu.people.com.cn/GB/1055/8418093.html

 

 

 

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総理番のお仕事⑥国籍法のゆくえ

2008/11/21 11:48

 

■国籍法改正問題の質問を総理ぶら(総理ぶら下がり取材)で出してほしいというご要望に応えようと、総理番記者としては努力しているのですが、きのうも質問できませんでした。すみません。首相はAPEC外遊中なので、次のチャンスは火曜日。

 

■いいわけになりますが、総理ぶらの質問は、好き勝手にできません。限られた時間になにを質問するかは、その月の幹事社(月ごとに各社が交替でうけもつ世話役みたいなもの)に「こういう質問したい」と申し込んで、みなの意見を聞きながら、質問の順番を調整するのです。ちなみに、「国籍法」や「対馬問題」は各社から「産経ネタ」とよばれ、つまり産経新聞(読者)しか興味をもっていないテーマとみられています。質問は、みんなが聞きたいものから優先順位がきまっていくので、産経しか質問しないネタは後に回ります。たとえば20日の昼ぶらでは、①郵政株売却凍結問題②道路財源一般化の1兆円地方配分問題③2次補正提出時期④消費税⑤国籍法、という順になります。で、時間の都合で③まで、聞けたわけです。

 

■20日の夜ぶらもがんばってみましたが、みんな聞きたいこといっぱいで、私も「総理」と声をかけたのですが、総理からは「こういうのは声が大きい人が勝つ、あなたはこの前(10月の幹事社月)質問したから」と逃げられてしまいました。まあ、APECに向けた意気込みとか元厚生次官ら殺傷事件についての質問が優先されるのは致し方ないでしょうか。

 

 

■総理に聞く機会にめぐまれないので、もうひとりの私の担当閣僚、小渕優子少子化担当相に「国籍法改正についてどう思うか」とこのあいだの閣議後会見で質問してみました。すると「議論のゆくえをみていかなければならないと思います。そういった懸念があることも承知していますので、そうしたところがなくなるよう、なくなるのかわかりませんが、しっかりつめていきたい」とのお答えでした。

 

 

■先日、議員会館の麻生太郎事務所にたちよったところ、国籍法改正反対のファックスが大量に届いていたので、多くの国民が国籍法問題に関心を寄せていることは、総理も認識されているかと思われます。ただ、衆院が通過し、今国会で与野党で成立に合意している法案をいまさら変えることはできないので、政府筋の人は、「付帯決議で対応するしかない」とのことでした。

 

 

■さて、国籍法改正のこの問題。実は政府もかなり微妙で難しい判断をせまられているのだと思います。反対、賛成というふうに白黒つけるのは、私自身も相当悩ましいところです。

 

 

■なにが悩ましいか。改正によって救われる子供は確かにいる。しかし、救われない子供も新たに出てくる、という点でしょうか。

 

■国籍法がどう変わるかということですが、要するに日本人男性が認知すれば、外国人女性の生んだ子供は誰でも日本国籍を取得できる、ということになります。

 

■今年6月4日に、フィリピン女性婚外子国籍訴訟で、外国人女性が日本人男性との間に生んだ婚外子(結婚せずに男女関係をもって生まれた子供)に日本国籍が与えられない現行の国籍法は、憲法に規定される法の下の平等に反し、違憲であるという最高裁判決がくだされました。

 

■現行法に違憲判決が下された場合、これはサクサク法改正をせねばなりません。現行の国籍法では、外国人女性が日本人男性との間にもうけた子に日本国籍を取得させる場合、①出生前に、父親(日本人男性)が「自分の子」と認知すること。②もし認知する前に子供が生まれた場合は、両親の婚姻関係と出生後認知の両方が日本国籍取得の必須の条件となることが定められています。しかし、この②の両親の婚姻条項が、違憲にあたるとして、改正案ではこの婚姻条項が削除され、父親の認知のみで日本国籍が与えられるようになります。

 

■しかし、父親の認知だけで日本国籍が取得できるなら、中には日本人男性などに違法に認知料を払って国籍を買おうとする輩もでてきましょう。日本の国籍は末端市場価格で200万~300万円くらいでしょうか。え?国籍って売買できるの、という方。できるそうです。そういう闇マーケットがありブローカーが存在するのは確かです。実は、命も臓器も子供も女性も売買されている。直接潜入取材したことはありませんが、そういう世界が私たちの知らぬところで広がっている、という情報は2段階くらい間接的に聞いています。

 

 

 

■で、うわさ話レベルでもうしわけないですが、伝え聞くところでは、日本の国籍は結構、人気だそうです。それは日本人に対する国際社会からの信用度が高い、ということでもあります。日本人はお人好しで騙しやすく、礼儀正しく、清潔。諸外国の入国審査で一番警戒されないのは日本パスポート所持者、観光客ならノービザで入国できる国も多い。(もっとも、その信用の高さもちょっと昔の話ですがね)。もう一つは、出稼ぎ場所としても魅力的な日本の国籍を子供に取得させることで、外国人の母親も合法的残留資格を得ることができる。
 

 

■で、今までは擬装国際結婚という形での国籍売買ビジネス、残留資格売買ビジネスが主流でしたが、これからは擬装認知という形の国籍売買ビジネスが増えるのではないか、というのが、今回の国籍法改正にともなう主な懸念なのです。

 

 

■擬装認知に対しては20万円以下の罰金、もしくは懲役1年以下、との罰則がありますが、しかし20万円程度の罰金ならあえて擬装認知をたくらむ人は減らない。実際、前エントリーのコメント欄でご紹介があったように、ドイツではホームレス男性に金を払って外国人女性が出産した子供を認知させ、国籍を取得する擬装認知が横行したことがあるとのこと。

 

■しかし、こういう懸念をはらみつつ、やはり日本人男性が、途上国女性との間に無責任にもうけた子供にも幸せになる権利を平等に与えてほしい、ということも、人として、女性として思うわけです。私は香港駐在時代はフィリピンが担当地域であったこともあり、日本人男性と婚外子をもうけたフィリピン女性も知っているし取材したこともありますが、フィリピン女性が日本人男性と子供をもうけて期待することはやはり、我が子が日本人の子供としての認知されることでした。それは、日本に出稼ぎに行きたいという下心もあるでしょうが、日本人は賢い、日本は文化的な国で、そういう国の子供になって、そういう国で教育をうけられれば子供も幸せではないか(本当はそうでもないかもしれませんが)と信じている部分もある。

 

 

■では、認知の条件にDNA鑑定をいれればよいではないか、科学的根拠で親子関係が証明できれば国籍を与えればいい、という意見もある。

 

■これは一理あるのですが、そうすると、日本人の家族観、家族法を揺るがせる可能性もあります。生みの親より育ての親、という言葉があるように、日本の家族は血統主義ではありません。血がつながっていなくても、本当の親子のように関係がはぐくまれている場合、当然、家族、親子とみなされます。相手が外国人だとしても、当事者がのぞめば別ですが、政府がDNAで親子関係を証明することを強要することは、へたをすると、プライバシーの侵害や法のもとの平等に反する違憲、と判断されることもあるかもしれません。

 

 

■血がつながっていなくとも、日本人男性が外国人女性と道ならぬ恋におち、せめてもの誠意として彼女の子(自分以外の男性が父親だとしても)を息子として認知し国籍を与えたい、ということであれば、それは、一夜の低俗な快楽の末、うっかりできた子供、あるいは女性の方が国籍ほしさに男性を誘惑して作った子供との間にあるDNAで結ばれた親子関係より濃いかもしれません。

 

 

DNA鑑定を条件とすると、国籍ほしさに日本人男性と欲しくもない子供をつくる外国人女性が増える、そうすると望まれない子供、十分に愛情を注がれない子供が増えるという心配もでてきます。そういう子供が、すでに存在する人身売買マーケットに流される可能性も。そうでならなくても、愛情不足で、ぐれて不良になって犯罪に走る?

 

 

■私自身は日本がいい国だ、日本文化と日本語を愛し、日本人になりたい、と真に思っている人は日本人になって、日本をよりよい国にするために貢献してほしい。これからの日本がより国際化、グローバル化する過程で日本人の定義も変わってゆくしかないだろう、と思っています。日本人口が減少に転じているなか、そういった新日本人が社会・経済の新たな活力となる可能性もある。なにより、生まれた子供が不当な差別を受けたり、幸福になる権利を奪われたりしないような国であってほしい。

 

 

■しかし、こういった国籍法改正によって、擬装認知ビジネスが横行すれば、大人が自らの金儲け、欲望のために、出産と子供を利用するケースが増え、結果的に不幸な子供が増える、幸福になる権利を奪われる子供が増える、という心配もあるわけです。

 

■いずれにしろ、国籍法改正についてはもっと広く国民に問題を提起し、さまざまな角度から議論をおこなった上でするべきだったのですよね。せめて成立するまえに、擬装認知の有効な防止策や、一旦認知された国籍が擬装とわかったときの対応について、国際人権法や諸外国の国籍法などとも比較しながら、追加の法整備ができる可能性を開くための議論を深めてほしいものです。

 

 

(訂正)

■すみません、上記で誤りの表現がありました。血統主義という言葉づかいは一般に国籍法において、生地主義と対になる言葉で、日本の国籍法は父母両系血統主義です。線引きで訂正いたします。日本の家族観、家族法がすでに血統重視でないということいいたかったのです。残留孤児の血縁のない家族(連れ子)を家族と認め、日本に定住許可された例など、事実上の家族関係を重視する判断が主流になっています。そういうことを表現するのに言葉づかいを間違っていました。

 

 

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中国が世界同時不況に貢献する方法

2008/11/11 23:15

 

■もう北京特派員ではないが、やはり、中国のことは気になる。特に中国経済がどうなるか。あらゆる矛盾がぎりぎりまで膨張している中国では、高度経済成長が持続しているという点が最後の砦、これがくずれると、マグマのようにいろんな問題が表に吹き出す可能性がある。現に、中小企業が万単位でばたばた倒産している広東省珠海デルタの深センでは暴動、労働争議がぼこぼこおきている。農村の暴動はともかく、都市部でも社会不安が顕在化しているということは、かなり危うい。

 

■で、中国はこの世界的な金融危機をうまく乗り越え国内経済の持続的成長を維持できるのか。ということが、今後の中国政治社会の安定においても、グローバルな金融秩序の再建においても、かなり重要なポイントだろう。というわけで、きょうは、ひさびさに、今の中国がこの世界金融危機の中、どういう経済政策を打ってでているか、それがどんな効果があるかを考えたい。中国ってば、私が北京を離れてからいきなり、利下げを始めて、金融引き締めから大転換しているのだ。ちょっと目を離したスキにこれだもんなあ。

 

 

■以下、長いから注意して。自分の頭の中の整理をかねた翻訳メモが多い。ちなみに、長くて読んでられんと思う方は、赤字を拾えばダイジェストで言いたいことが分かるようにしました。

 

 

■金融サミット(G20)、

 中国IMFに外貨準備拠出はちょっと嫌

だって途上国だもん

でも内需拡大で皆様のお役に立つわ

←立てるのか?

 

 

 

■さて既報だが、中国国務院がこのほど、1200億元相当の企業向け減税を柱とした内需拡大策10項目を打ち出し2010年までに4兆元(57兆円)を投入するという緊急経済対策を打ち出した。これ、誤解されている部分もあるが、4兆元まるまるの財政出動、ということではない。要するに総額投資規模が4兆元。現地のアナリストに聞いてみると、プロジェクトの中にはすでに予算が組まれているものもあって、新規のものは4~6割程度ではないかとみられている。それでも2兆元前後だからでかいことはでかい。ちなみに中国のGDP規模は25兆元くらい。今年はもっと増えてドイツを抜くそうだ。

 

 

■この内需拡大策の詳細をのべると、

①安心して暮らせる住居建設プロジェクトの加速

廉価賃貸住宅建設に力をいれ、入居者区改造、遊牧民定住プロジェクトの実施、農村の老朽化住宅の改造テストエリアを拡大する。(農地請負権の市場化も解禁になった、都市近郊の農村からばんばん住宅をたて売りまくれ

 

②農村のインフラ建設加速。農村の湖沼、飲料水安全プロジェクト、農村道路建設、農村電力網、南水北調プロジェクトなど重大水利工程建設の加速および、大型灌漑区節水改造の加速。貧困扶助開発の加速(生活インフラ建設、道路建設は手っ取り早い雇用創設

 

③鉄道、道路、飛行場などの重大基礎建設の加速。旅客専用線、石炭運輸道路および西部幹線鉄道、高速道路網の感性、中西部の幹線飛行機場、支線飛行機場建設。都市電力網改造。

飛行機場ばんばん造る。飛行機とばなくても、とりあえず造る

 

④医療衛生加速、文化教育事業発展。基礎医療衛生サービスメカニズム建設の強化、中西部農村の中学校後者改造、中西部地区特殊教育学校、郷鎮総合文化ステーション建設。

医療・文化・教育建設の整備にもお金かけるぜ

 

⑤生態環境建設強化、都市、小都市の汚水、ゴミ処理施設建設、重点流域の汚染防止、防護林および天然森林資源の保護プロジェクト、省エネ、減排気プロジェクト建設。

省エネ、エコ建設も大きな市場だ

 

⑥自主創新と産業構造調整。ハイテク技術産業建設と産業技術進歩、サービス業の発展。(核心技術で競争力つけよう、これはちょっと無謀?

 

⑦大地震被災地再建プロジェクト。

余裕のある省直轄市に金ださせて四川大地震被災地再建

 

⑧住民収入向上。穀物の最低買い上げ価格の引き上げ、農業資本総合補助、苗種、農機具などへの補助規準の引き上げによる農民収入増。社会保障対象者の水準の引き上げ、都市農村の低所得者への補助増加、退職者への基本養老金水準と生活保護基準の引き上げ。

社会保障インフラの整備もね) 

 

⑨企業にたいする増値税(物品の売買、加工、修理 原材料輸入などにかかる一種の消費税だが中国の場合は企業が払う)改革、企業の技術革新奨励を通じての企業負担1200億元減。

大型企業減税で企業救済

 

⑩経済成長を支える金融への支持増大。商業銀行の信用貸し付け規模制限を取りけし、信用貸し付け規模の合理的拡大。農村、農民、農業問題、中小企業と技術改革、M&Aに対する信用貸し付けを支持。(融資総額制限撤廃されたから、ばんばん融資するぜ

 

 

以上。

 

 

■ところで、財源は?というと、これが一言も書いていない。さすが独裁国家。財源を書かなくてもOKなのである。で本当のところ、どうするのか、と、いろいろ情報をかき集めると、全体のうち中央財政出動が2割くらいをしめて、2割が企業債(社債)、あとの6割が銀行融資、らしい。公式発表ではないから確証はないが。

 

 

■で、6割を担う銀行に金があるのか?というと、あるようだ。中国の預金総額は今のところ46兆6810億元。昨年は株式市場に預金が流れたが、今は株式市場がガタガタなので、金が銀行にもどってきているのだ。だから⑩の融資制限撤廃が効く、という。ちなみに中国の銀行の預金総額に対する貸し出し比率の上限は75%で、今は67・4%だから、一応余裕がある。

 

■緊急財政出動が2割って、中国の財政でまかなえるのかよ、という話になるが、公式データ上、中央財政は2008年1-9月実績でGDP比6・2%の黒字、だそうだ。2008年だと通年だとで3%ちょいの財政黒字。中国のGDP25兆元から算出すると7500億元くらい余裕があるので、4兆元の2割つまり8000億元は余裕でまかなえる、という話らしい。ほんとか?

 

■ようするに、政府主導のプロジェクトにがんがん銀行の融資をつぎ込んで、強引に雇用創出して、庶民の給料あげて、需要を拡大して、金をまわしてゆくのだ、という計画だが、これを可能にするのは、銀行の金はオレのものby中央政府的な中国ならではの強引な手法と言えそうだ。

 

 

 

■この政策を受けて、温家宝首相は10日までに重要講話を発表した。資料用に訳しておく。

 

新華社北京11月10日

 北京(中央政府)は各省自治区直轄市の人民政府および国務院(内閣)省庁の主要席に者同志の会議を招集し、温家宝首相が重要講話を発表した。彼は「国際金融危機のよるわが国へのマイナス影響に対応するため、党中央、国務院はこのほど積極財政政策および貨幣政策の適度な緩和、さらに経済発展促進政策の実施を行うことを決定。各地区各部者はこの中央決定の貫徹を真剣に実行し準備し、各任務を着実に行い、経済の安定した比較的速い発展を維持するよう努力すべし」とした。

積極財政に向かって大車輪だ。足りないきゃお金を刷りますよ) 

 

 

 温首相はさらに、「国際国内的に峻厳な情勢に直面するなか、経済の安定した比較的速い発展を維持し、クラッシュの出現を防止することはわれわれの主要任務であり、この目標を実現するために、科学的発展観の根本要求の実践と具体体現を貫徹し、社会の和諧安定という重要基礎と基本保障を維持することこそ、わが国自身の発展需要であり、また世界経済への最大貢献である」「わが国はもっか、依然、重要な戦略時期にあり、わが国の経済発展はリスク制御能力および強靱な活力を備え、われわれは完全に自信があり、直面する困難に打ち勝つ能力がある」とのべた。(中国の経済発展は世界同時不況を救うぜ。中国さまにはリスク回避の能力も自信もあるのだ。←でもIMFに外貨準備を拠出するのはあまり乗り気じゃない?

 

また温首相は、「中央は内需拡大を促進する10項目の施策を打ち出し、これはもっかの困難を克服し、長期的な発展を維持するために、すべからく重要な意義を備えている。これら施策の実施がすべからく求められ、迅速に着手し、重点をおき、正確に実施、実のある仕事をせねばならない。着手を迅速にというのは、一分一秒をあらそうということであり、時期を見誤ることをゆるさない、ということである。重点を置くということは、強力に堅固に実施し、経済の速すぎる原則を根本的に転換させるということである。正確ということは、ポイントをしっかりつかみ、重要な点を特に重視し、効果をはっきりさせるということであり、実の有ると仕事とは、確実に実施するということである。」(早く確実に重点的に、効果あきらかな仕事しまっせ

 

温首相が策定した中央政策施策7つのポイントとは、

 

①投資を増加し、投資構造を優化する。中央が出した十の施策のうち主要なのはつぎの4種類。1)大規模な民生プロジェクトの実施を加速、2)大規模なインフラ建設プロジェクトを加速、3)経済発展増強に有利にじわじわきいてくるような一連の大型プロジェクトを早急にスタートさせる、4)産業構造の調整と優化レベルアップをポイントとしたプロジェクト建設に対する支持の増大。

 政府主導の建設プロジェクトに金をぶちこみまっせ

 

 これらのの措置を実施し、重大投資に対する管理を強化し、真面目に可能性の研究論証を行い、投資の質と効果をレベルアップする。市場に対しては自主投資を奨励、導き、民間資本を政府が奨励するプロジェクトや国家産業政策領域、広範な民生プロジェクトへの参与とインフラ設備、生態環境建設に導入し、政府投資の呼び水作用と民間投資の積極性を、有機的に結合させる。

 企業も、おらおら金だせ

 

 ②消費需要の拡大、とくに住民消費需要の拡大に力をいれる。消費拡大と収入分配政策を結合させ、就職拡大、サービス業の発展を結合させる。最も重要なのは、住民収入増大を万策をつくして行い、消費能力を高める。国民収入分配の枠組み調整に力を注ぎ、中低所得住民の比重を高める。消費の制度的政策的障害を取り除く努力をし、住民消費の予想を改善し、住民消費需要の拡大を促進する。

中低所得者の可処分所得を増やします) 

 

 ③不動産市場の安定した健全な発展を促進する。不動産業は国民経済の重要な柱であり、鉄鋼、建材、家電居住用品などの産業発展を左右する。また金融業の安定発展にも重要な関係があり、住民消費構造のレベルアップを推進し、民生を改善する重要な作用もある。不動産市場の情勢を真剣に分析研究し、正確に不動産情勢を導き調整する必要がある。

 デベロッパーにはちょっと泣いてもらう?安い家たてろや。

 

 経済的な廉価賃貸住宅やエコノミー仕様の賃貸物件への投資、購入、開発建設を増加させる必要がある。中小型、中低価格の普通商品住宅開発の安定発展を促進する。中古物件市場および賃貸市場の発展を加速させる。継続して不動産市場秩序を整頓し市場取り引きを規範化する。

で、みんなおうちを買おう!) 

 

 ④輸出の安定増加維持を努力する。輸出税還付金、対外貿易発展基金、財政貼息など政策措置の総合運用を行い、自主ブランド、核心技術の産品と大型機械設備、農業・軽工業某生業など競争力ある労働集約型産業の輸出を支持し、輸出市場の多元化戦略の実施を加速し、国内が必要とする先進技術、設備、とくに部品とエネルギー原材料の輸入を積極拡大し、とくに戦略的重要物資の備蓄を増加する。(ドルが安いうちに戦略重要物資を買い込んで備蓄

 

 ⑤企業の質と市場競争力のレベルアップに力をいれる。経済の安定的な比較的派迅速な発展を維持し、最も根本的なのは企業の活力を刺激し、企業発展を促進することである。各種企業は切磋琢磨し、自主創新を加速し、産業構造を優化し、産品の品質をレベルアップし、市場開拓能力を増強し、市場競争力を向上させる。各項目のマクロ経済政策は企業発展に有利でなくてはならず、財政税制、金融、貿易、産業、徴収などの方面で多種多様な政策措置をとり、企業の併合再建を積極推進し、企業、特に中小企業発展を支持する。(ある程度の企業淘汰はいたしかたあるまい

 

 ⑥金融財政の仕事を真面目に行う。金融コントロールをを改善し、多種多様の政策ツールを総合運用し、貨幣信用貸し付けの合理的な増加を維持する。銀行、証券、保険業はすべからく経済成長促進を一層支え、実態経済の金融サービスに対する合理的な需要を効果的に満足させる。株式市場の安定発展を促進させ、金融企業の基礎管理強化、内部のコントロールとリスク防止モデルをしっかり強化する。金融監督管理を強化し、監督管理と協調メカニズムを万全にし、金融リスク防止を有効に行い、わが国の金融安全を確保する。財政増収工作を大回転で展開する。法に従った徴税管理を強化し、財支支出構造を優化調整し、経済社会発展に対する発展の薄弱なポイントへの比重を大きくして、一般性支出を厳格にコントロールする。

 銀行の金をがんがん運用する。でもリスク回避はしっかりね

 

⑦重要ポイント、重点領域の改革を積極推進する。増値税転換改革を全面的に実施する。有利な時期を見極め、ガソリンなど製品油、天然ガス価格の形成メカニズムをさらに合理的なものとする。医薬衛生体制改革推進を加速し、改革のテストポイントをうまく組織し、政策をうまく組み合わせる。政府の職能をさらに転換させ、効率をレベルアップする。(増値税改革で企業減税を。今までの生産型増値税から、消費段階での付加価値税にかえていく。価格統制はそろそろ限界

 

 温家宝首相は、もっかの経済工作について三つの要求を出した。①統一思想と強い自信を持つこと。各地区各部門は党の第17回党大会および第17期3中全開の精神を全面的に貫徹し、思想認識統一をしっかり行い中央の国内外経済情勢の分析判断に基づいて、中央の政策決定のもと統一し、科学的発展観の要求のもとに統一すること。中央の積極性を努力して発揮するだけでなく、さらに各地方の自主性、創造性も十分発揮すること。国家の危機に対するし主導作用を十分発揮するだけでなく、企業の能動性も刺激し一緒に動かすこと。マクロコントロールの柔軟性、的確性、有効性を強化するだけでなく、資源配置に対する市場の基本的作用を十分に発揮させる。

 伝家の宝刀、科学的発展観でのりきる。ようは気持ちの問題さ、って中国らしい

 

 

 ②協調性を強化し、中央が決定した経済の安定した比較的迅速な発展促進の政策措置を迅速に一定レベルになるまで、手綱をゆるめずしっかり行う。そのメカニズムを打ち立て、責任を明確にし、強力を形成し、監督査察を強化し、しっかりと成果を出す。投資項目と資金の監督管理を強化し、仕事の透明度を高め、上手な資金運用を保障し、効果を発揮する。(中央と地方の協調資金の監督管理強化と透明性が大事←でも中国でこれができるなら、誰も苦労しない

 

 ③風紀を転換させ、真面目に実質的に取り組む。各レベルの指導者幹部は調査研究を深く実施し、傾向、根本的な問題を鋭敏に発見、把握し、より重要で難しい問題に注目し、時期をはずさず研究、解決すること。(地方の政府・党の風紀を転換させ、まじめに仕事させる←しかし、腐敗は中国の政治文化。できるものなら、さっさとそうしていたな

 

この会議には、国務院の李克強副首相が会議の議長となり、回良玉、張徳江、王岐山各副首相が出席。劉延東、馬凱、孟建柱、戴秉国各国務委員が出席した。また各省、自治区、直轄市人民政府、新疆建設兵団の主要責任者、国務院関係部門責任モノ、北京の国有重要基幹産業企業の幹部。党中央、全人代、全国協商関係、最高法院、最高検察院、各民主党派、工商連合責任者らも参加した。

 (以上新華社翻訳)

 

 ■この内需拡大政策、現地アナリストにきけば、「細かいところは不透明だが、ざっくりみれば、プラス評価。けっして無茶なプランではない」という。ちなみに、中国は97年のアジア金融危機のときも、毎年、フランス全土の高速道路に匹敵する距離の高速道路建設を行う道路建設投資で雇用を創出し、景気を活性化させ、金融危機をしのいだ実績がある。

 

 

■今回は投資の対象が主に廉価住宅で、中所得者の消費拡大につながらせるのが狙い。ただし、効果がいったいいつ、どの程度?というのは、情報が少なすぎてわからない。今から準備しても、着手は年明け、効果がでるのが再来年、となれば、今猛烈な勢いで企業がばたばた倒産してぼこぼこ暴動が起きている状況をみれば、ひょっとすると手遅れの可能性もある。また、中国の常として、細部の金の流れに不透明な部分があり、汚職、腐敗、利権構造で、せっかくのよさげなプランもぐちゃぐちゃになる。

 

 

■ちなみに、フィナンシャル・タイムス11日(中国語ネット版)は、「この4億元投資によって明らかに利益を受けるのは、鉄鋼など大型国有企業はじめ、既得権益層」との分析を加えている。その理由は、中国のもともとの経済構造の問題は、過剰投資と多すぎる貿易黒字と低すぎる内需の成長だった。そこに、今回のような巨額投資をもって、問題を解決できるのか。収入分配の不合理があり、それが貧富の差を拡大する。利益は投資部門への分配が多く、投資部門の雇用はもともと、少ないから小数の人間が富を独占する結果となり、資源は政府に集中する、と。過剰な生産は輸出にいくしかなく、さらに産業構造を悪化させるしかないのではないか?と。

 

■庶民のネット上の反応も、「企業減税が庶民の生活に反映されるには、企業の強欲なトップを絶滅させねばならない。でないと4億元以上の金をつぎ込んでもたりない」といった批判がある。(人民ネット強国社区掲示板)

 

 

 

 

■このプランを劇薬としながらも、おおむね評価している李稲葵・清華大学世界経済研究センター所長もCCTVの番組でこんな話をしている。

「関連領域の改革の継続推進が必要だ。たとえば、収支の公共による監督、民衆による監督、メディアによる監督が必要だ。(中略)結局これらの金は長い目でみれば、納税者の金であり、庶民の金だ、だから必ず透明性を高め、収支の公共での開示が必要」。さすが汚職国家、みんな同じことを一番懸念している。

 

 

■さて、この景気刺激対策プランを携えて、胡錦濤国家主席は15日の金融サミットに参加する。人民日報は次のように報じている。

 

「今回のサミットは、米ドルを基軸通貨とした現今の国際通貨システムに挑戦するものとなる」「1兆9千億ドルの外貨準備を擁する中国は、国際通貨システム改革について真っ先に発言権を与えられた。また米国国債の2番目の債権者である中国に対し、国際社会は改革への参与を期待しており、期待感はかつてないほどの高まりをみせている」(11月5日)

 

中国に対しては巨額の外貨準備高IMFに拠出して、世界経済の救世主になれや、との声が米英あたりから飛んでいた。しかし、これについては中国は乗り気でない。香港明報などは「中国は世界の救世主にならないだろう」と報じている。「先進国と途上国の利害は一致しない」「中国は、巷の『中国責任論』を防止する必要がある」「欧米が衰退すれば、その輸出に頼る中国の台所だって火の車なんだから、(IMF拠出より)先に自分を守る必要がある」というのが理由だ。そのかわり、中国は内需拡大で世界経済に貢献するからさ、と温家宝首相はすでにゴードン・ブラウン英首相に電話で伝えている、という。

 

 

■まあ人民元が国際通貨システムの中で重要な役割を果たすにはン十年早かろう、と思うし、毎日暴動おきているような国に「おまえ、ホワイトナイトになれ!」っていわれても、そんなことすれば国民が、他国を助ける前に俺らを助けろ!と怒り出すだろう。一応、この内需拡大プランを引っさげて、これをかわりに、と出してみても、なんだよ半分は昔のプロジェクトじゃん、ということはすぐにばれるし、中国の巨額外貨準備高は、嫌でも金融サミット中の話題に上がることだろう。そこでこんな意見がある。「外貨時準備を内需拡大政策に使うと宣言すればいい。今中国がそうするといったところで、G20のどこの国も反対しない。むしろ、賞賛を浴びるだろう。そのくらいすれば、世界の景気回復の牽引力となるくらいの内需拡大が期待できるのでは」(前出のアナリスト)。

 

 

■というわけで、今度の金融サミット、中国の出方を注目している。うまくいけば、サミットで(IMFに拠出しなくても)ヒーローになれるかも。しかし、その前に政策の透明性が担保できる情報公開制度と報道の自由がほしいところだ、とも思う。

 

 

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総理番のお仕事⑤認定拉致被害者の松本京子さんの新情報

2008/11/07 20:04

 

■きょう、内閣府拉致問題対策本部総合調整室に松本京子さんのお兄さんの松本孟さんがいらっしゃいました。1977年に鳥取県米子市で行方不明となり、北朝鮮による拉致被害者に認定されている松本京子さん=当時(29)=について、かなり精度の高いとみられる新情報が寄せられたので、それの裏づけ調査を政府に要請するためです。

 

■調整室からもどってきた松本孟さんと、特定失踪者問題調査会副代表の真鍋貞樹氏の出ぶら(出口付近で記者がぶらさがって聞く形式の集団インタビュー)の記録をいちおう、すぐ起こしして、メールでキャップらに流したのですが、この手のニュースは社会部マター、だそうで、記事は社会部で出稿するもよう。なんか、もったいない(なにが?)ので、オンレコの部分だけをここにアップしておきます。

 

■Qあらたな情報を報告された?
 

松本孟氏:きいておきますとか、そういうこではなくて、本当に貴重な情報なんで、これ以上の情報はでないと思いますんで、政府の方には動いていただいて、早急にこの拉致問題を解決してほしいと、室長に要請しておきました。室長のほうも、なかなかこうですああですとはいえないとおっしゃっていましたけれども、そこのところは全力を傾けて動いて欲しいと行動を起こしてほしいということだけは強くお願いしておきました。
 
 
■Q予定30分ときいていたが1時間くらい話していた。かなり話し込んだのか?
 
松本:ま、当たり前のことしか話してませんが。あとは真鍋さんの方からいろいろと説明があったんで、このいきさつみたいなことをお話しました。
 
真鍋:漆間巌官房副長官ですか、このあいだ、外交ルートとは別にあらたなルートを開拓したいとおっしゃっていましたが、その線にそってですね、松本京子さんに関するあたらしい情報について、そういった観点から問題解決にとりくんでほしい、そういうふうにお願いいたしました。
 
■Q反応は?
真鍋:河内室長ですから、残念ながら一般論的なことで終始はしているんですけれど、もう一般論ではなくて具体的な行動を起こしてほしいということを要請しました。
 
 

■Q松本さんのところはお母さんが85歳ですが。
 
松本:ですから、とにかく行動を起こしていただいて一日も早く日本に帰ってこれるように、願うだけですので。もうとにかく動いて欲しいと、もうそれだけですね。動いていただかないことには、この拉致問題もうごきませんので、どんな形にしろ、動いていただくと、強く要望したい。これからもそういうこと言い続けていかなくては。
 
■Q今回の新たな情報とは。
 
真鍋:改めて申しますと10月中旬に、中朝関係者から私のもとに電話で情報がもたらされました。その情報は、北朝鮮にいる松本京子さんと思われる女性から、間接的に伝言をあずかっている。と。その伝言の中身は「イナちゃんによろしく」という伝言である。という情報が私のところにもたらされました。で、果たして、松本さんの周辺にイナちゃんという方が存在するかどうかを調べたわけです。その結果、米子市に実際に京子さんがイナちゃんと読んでいた女性がいらっしゃることが判明した。ということですから、この情報はかなり確証が高いのではないか、と判断をして今日に至っているというこです。
 
■Q今回の情報についてどう思われる?
 
松本:イナちゃんという女性は私どもも認識していなかったものですから、ちょっと意外だったんですけれども、会社の方に問い合わせてみたら、存在する人物でしたので、お会いさせていただいて、どういうおつきあいだったのかということを確認させていただいて、間違いがないと、真鍋さんのほうに、こういう人物がいると電話で報告しました。一昨日ですかね、直接おうちにいかせていただいて、いろいろお話をうかがって、これなら間違いないなという判断で、きょうにいたっているということです。
 
■Q京子さんは、どうして「イナちゃん」の名前を出したのでしょう?
 
松本:深い意味はわからないが、ただ私どもが信用するに値するな、というのは、いろんな形でおつきあいさせていただいた、会社の中での人たちのなかで、稲田さんという方が、妹と「イナちゃんキョウちゃん」と呼び合っていた、会社の方もキョウちゃんと呼んでいらっしゃったので、これはほぼ本当に間違いないと、情報を操作するとか、どっかでつくる話ではないと、全面的に信用するに値すると思っています。
 
■Q松本さんの生存確認は?
 
真鍋:松本京子さんの情報はほかにも複数あって、それを総合すると、北朝鮮の特定の場所の特定の会社で現在、元気に働いていらっしゃる。その名前はちょっとここでは申し上げられない。
 
■Q政府にはどういう事をおっしゃった?
 
真鍋:これからどうするんですか?何をしますか?ということですね。もちろん外交交渉で表ではやっていただきたい。しかし、それだけではデッドロックなので、その方法論的には「漆間プラン」で強く進めていくことで、この種の問題解決されていくのでないか、ということですね。
 
■Qイナちゃん以外の情報もある?
 
真鍋:有ります。詳細はいえないが。それと今回とは別の情報源ですが、松本京子さんの他にも日本人が何人か近くに存在するという情報がありますので。そのへんのことを、もっと日本政府としてつきつめていただきたい、と話しました。
 
■Q調査会では10月31日に記者会見をして、その場で発表できなかったのはなぜか?
 
真鍋:その種のことをそんなに簡単にぽっと出せるわけじゃないですから。今月の例の千番台リストのですね、第二陣を準備していますので、ちょっとずつやっていかないと。こちらも、ね、大変ですから。
 
■Qイナちゃんという、親戚や身内の人でない名前をメッセージとして託したのは?
真鍋:要するに本人しか知り得ない情報をメッセージとしていただけないか、と情報提供者とは話し合っていた。だから、急に電話がかかってきたわけではない。
 
■Q情報提供者は直接、松本京子さんと接触されている可能性は?
 真鍋:その可能性は否定できないですね。
 
■Qイナちゃんによろしく、というメッセージは、真鍋さんと中朝関係者とそういうヤリトリがあったから、きたのですか?
真鍋:本件にかぎらず、似たような話、ありますでしょ。たとえば、そのとき、松本京子さんの写真やビデオほしい、といっても不可能ですよね。DNA鑑定できるような髪の毛ほしい爪ほしいって、危ないですよね。唯一できる方法が、本人しか知り得ない何かキーワードを伝えて欲しい、ということは、われわれとして日常的にやっていることなんですね。そのあたり具体的にイナちゃんという名前がでてきたということですね。
 
■Q中山恭子氏(首相補佐官、拉致問題担当)は、色々断片的情報が入るものの、報道発表するときは本人の生死にかかわる案件もあるので、熟慮して判断しないと、場合によっては解決まで秘匿すべきだと、いうスタンスをとられているが、今回はどうして発表されたのか?
 
松本:いろいろ悩みもありましたけれど、結局、このまま水面下でうもれていくということになれば、また年月がかかっていくわけですから、私の母親も85歳の高齢ですから、せっかくその、与えられたチャンスをみすみす逃すことなく、多少のリスク、どんだけのリスクかわかりませんけれど背負ってでも、表にあげて、そしてこの事件が解決するという方向にもっていけば、少なくとも、なくなられずに済んだ方もあるかもわかりませんので。これは私ひとりの問題でもないと思っておりますし、大勢の拉致被害者の家族、拉致被害者が救われれば、私もさきで救われるかもわかりません。
 
■Q京子さんが拉致被害者に認定されてはや2年。電話口に出たのではないかなど、非常に生存につながる情報がでているが。
 
松本:せっかくのチャンスですから、救えるもの、奪還できるものなら、どんな努力をしても取り返していきたい。
 
■Q情報提供の中朝関係者と真鍋さんとお会いしたことは?
 
真鍋:あります。
 
■Qどのくらいの間のやりとりをして?
 
松本:アロットオブタイム
 (以上)

 

 

■公開できない情報もあるようですが、少なくとも松本さんが、北朝鮮で元気に暮らしてらっしゃる可能性はたかまりました。イナちゃんというのは、松本京子さんと同じ会社の同期入社の同僚だそうです。孟さんはイナちゃんに直接あって、事情を話すと、イナちゃんは、「なぜ私の名を…」と驚いていたそうです。

 

 

 

■松本京子さんは、77年10月21日午後8時ごろ、米子市の自宅近くの編み物教室へ行く途中、男2人に連れ去られたのが近くの住民に目撃されていた。その後、2003年10月、脱北者の元北朝鮮兵士が松本さんとよく似たキョウコとなのる女性を目撃したと調査会関係者に証言し、2006年11月に拉致被害者に認定されました。

 

 

 

■本当はきょう、中山恭子首相補佐官に、この件について、ぶら下がって聞きたかったのですが、ちょっと目を離しているスキにすでにお帰りになってしまいました。簡単にはいかないのは承知してますが、政府としても、なんらかのアクションをおこして欲しいものです。

 

 

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総理番のお仕事④常識と言論の自由のはざまで考えたこと

2008/11/07 09:55

 

■初のアフリカ系米国人米大統領、オバマ氏が大統領選で圧勝した。やはりブッシュ共和党政権の政治にダメだしをする意味でも、次が民主党政権になるのは当然の流れなんだろう。共和党がダメなら民主党でやってみよう。こういう判断のわかり安さが、米国民主主義のいいところかもしれない。

 

 

■ちなみに、民主党は親中国と思われがちだが、中国政府サイドからみれば、共和党の対中政策の方が分かりやすく戦略が立てやすいという人が多い。共和党は鄧小平氏と同じく、原則が事実求是とシンプルで、中国とも現実的に利害関係で動く。でも民主党は人権と民主とか理念を大事にするので、これが中国にとってはやりにくい、そうだ。来年はチベット民族蜂起50周年で、天安門事件20周年。人権とか民族弾圧とか宗教弾圧とかのキーワードには敏感な年で、そこらへんの価値観の違いが邪魔になって、民主党になって米中が急接近、というような単純な構図にはいかないかもしれない。ならば、共和党政権時代より日米中の距離感が正三角形に近くなる?

 

 

 

■さて、日本はというと、なんとなく現状に不満を持ちながらも、政権がかわれば何かがかわる、というはっきりした期待ももてず、イエスともノーとも、ウイキャンとウイもキャンノットとも言えない空気がながれている。日本人はこうでなきゃ、というマニュアル好きでもあるが、肝心なところでは意思表示できず、あいまいに流れる国民だと、と外国人の友達からしばしばいわれてきたが、やはりそうなのかな。

 

 

■と思ったのが、きのう(6日)の漆間巌官房副長官の事務次官等会議後会見。すでに論文の内容については報道で賛否両論とりあげられている前航空幕僚長の田母神俊雄氏の退職処分についてのヤリトリ。ちなみに、福島は総理番と同時に、漆間副長官番もやっているので、漆間副長官の会見などもフォローするのがルーティンワークでもある。

 

 

■まず会見(11月6日午後3時)のやりとりをそのままアップする。

 

■記者「田母神論文の件で、浜田防衛大臣が自主返納を求めると、表明されているが。懲戒手続きをせず、定年退職としながら、自主的に退職金の返納を求めるのは手続き的におかしいのでは」
 漆間副長官「退職金は、今のままでは出てしまうので、責任を感じているのであれば、返納してほしいという主旨なんでしょう。国民からみても、それをもらうのはおかしいから、といって返納してはどうか、といっているので」。

 

 

■記者「では、ちゃんと懲戒手続きをとるべきだと思うのだが」
漆間副長官「懲戒手続きをとっていると60歳の定年にまにあわない。その手続きをおえないうちに定年がくると、その間ずっと給料をはらわなあかん、というので、その方が無駄じゃないか、という趣旨でしょ。つまり懲戒手続きとはそう簡単なものじゃありませんからね。公務員は身分が保障されていますから。今回、懲戒免職になるかも、まったくわかりません。場合によって誡告程度でおわるかもしれないですけれど。どんなことをしても懲戒手続きにはいって、現実にそれがおわるというのは、まあ、わたしの経験からいっても一番長いのが2年。半年以上は絶対かかりますね。そういうのをみこして考えて、定年が来年1月と考えれば、懲戒手続きにはいっても意味がない、とこういうことでしょう」

 

■記者「田母神氏が審理に応じないから、定年退職処分としたと発表もあるが、田母神氏自身は応じるとおっしゃっている」

漆間副長官「応じる応じないとはまったく関係なしに、手続きをとれば半年以上、絶対かかってしまうので、やる意味がないだろう、と。応じる応じないは、私はしりません。当事者同士の話でやっている話。審理に応じたとしても、少なくとも時間はかかりますから。同意しないなら。その裁定手続きはものすごく時間かかるから、どっちにしろやめちゃうんだから、もし懲戒免職にするような案件だったとしても、つまり、きれちゃうんですよね、来年1月。自動的に退職するので、退職金がでてしまう。ならば、その間、給与の方がもったいないのではないか。ならば早くやめてもらった方がいいだろう、ということだと思います」

 

■記者「防衛省の判断が適切だったと?」
漆間副長官「それ以外、方法がないんですよ。まあ、あの基本的に考えて、こういう思想的な問題で、懲戒免職をとること自体も非常に難しいと思います。懲戒免職がとれなければ、退職金はどっちにしたってでますよ。懲戒免職になるような手続きをとったとしてもどちらにしても間に合わない。そうすると、その間に定年にきてしまう。そしたら退職金はでてしまう。そしたら、方法はない。だから、それを手当する法律ができていればいいが、できてません。今の法体系からいえば、この方法しかなかったと私は思いますが」

 

 

■記者「関連で。さきほど、河村長官が、同じような論文を出している自衛官78人のなかで、同じような内容のものがあれば厳しい対処をとるとしているが、論文の内容によって厳正な対処をとるというと、どのような対処があるのか」

漆間副長官「それは私も詳しいことがわかりませんが、いずれにしろ、届け出は出しているので、内規違反は問うことができないので、そういうものを投稿したことが発表したことになるのか、これを法律的につめないと。そして、それが発表したことになるのであれば、その内容がどうであるか。内容がまさに、今のわが国がとっている方向とまったく違うということになれば、その内容についてなんらかの処分をする可能性はあるだろう、ということだろうとおもいますね。法律的にいうと、対外的に発表したといえるか、という点だと」。

 

■記者「階級にかかわらず?」
漆間副長官「それは基本的に内容ですから」

 

■記者「田母神氏の場合は空幕長の立場で、という点が問題だったと思うが」
漆間副長官「自衛官の立場でそう思っていることがいいのか、という問題も出てくるかと思いますので、内容によっては、その幕のトップでなくとも、その責任は問われることになることもあるかもしれませんね。私はその内容をしりませんから、一般論でしかいえませんけれど」

 (以上)

 

 

■上のやりとりをごらんになると、気づかれた方もいるだろうが、実はこの田母神論文問題については、政府はきわめて曖昧な手法でしか対処できていない。まさしく、こうするしかなかった的な。あえていえば、「これがもっとも常識的な対応」というやつだ。

 

 

■私個人の意見をいえば、田母神論文の内容については納得する部分もあるが、やっぱり「あの戦争」は侵略戦争だと思っている。そもそも侵略戦争でない戦争の方が珍しい。その侵略戦争を起こせざるを得なかった背後に、いかなる謀略、歴史的背景、国際情勢があったにせよ、戦争に負けた時点で、そのことについて自己弁護できない。勝てば正義、負ければ悪というのが、戦争のルールなのだ。その戦争のルールに戦後60年以上たっても支配されている。たとえ、戦後いくら経済的に発展し経済大国となり国際貢献する立場になろうとも。戦争に負けるということはそれほどみじめで、悲哀に満ちたものだと思う。だから120%勝てる自信がなければ絶対戦争を始めてはならないし、どうして避けられず戦争に巻き込まれたら、早く終えて講和に持ち込む最善の努力をしなくてはならない、ということなのだろう。

 

 

■で、その戦争の当事者とはいわないが、その戦争の反省にたって組織された自衛隊・航空自衛隊制服組トップが、民間の検証論文で、「長期的にみて国家・国民の利益にかなう」との信念をもって、日本の弁護を展開し、自虐史観からの脱皮を訴えた。この論文が優秀賞をとり、新聞にとりあげられ、公になった。政府としては、外交問題に発展する前にすばやく処分を下す必要があり、実際、びっくりするくらい素早い処分がくだされた。

 

 

■論文の内容についてはひとまず置く。こういう歴史認識の論議は、きちんと腰をすえて、資料をそろえてやるべきで、仕事の片手間にできない。だが、ここで記者としてやはり気になるのは言論・思想の自由に関する原則だ。

 

 

■実は、私は3日夜、田母神氏の退任記者会見の現場にいた。連休中で人がいないというので、夜勤の私がピンチヒッターで出たのだった。で、心にのこったのが「政府見解に一言も反論できないようでは北朝鮮と一緒」という主張だった。

 

 

■はたして、自由民主主義国家の日本では、国家公務員は、政府見解に反する発言を許されないのか。経済産業省の幹部が政府の経済政策を批判する論文を書いても解職なのか。現行憲法を批判する言論の自由を国家公務員は与えられていないのか。

 

 

■もし、政府見解に国家公務員が異論を唱えられないとすれば、政府が政策を誤ったとき、政府はそれに対する問題提起を受け付けられないこととなる。

 

 

■言論・思想の自由は基本的人権として、あらゆる権利のうちの最上級に置かれるので、国家機密漏えい、第4者の人権の侵害や危害にかかわるもの、公共の福祉に背くものでなければ、タブーはあるとしても、たいてい認められるのが自由民主主義国家の原則だ。ただし、組織に属す以上、その組織に不利益をもたらす言論、その信用を失墜させる言論は、処分する権利が組織にはあるだろう。しかし、その組織自体に問題があって、公民の不利益になっていることもあるから、ある言論が、言論の自由という金科玉条にまもられるべきかどうかは、公民の、つまり国民の意見、世論が結局きめる、世間的にみて常識か非常識か、という点が重要らしいのだ。

 

 

 

 

■私は、とある政府高官に、きいてみたのだ。もし、田母神氏が、自分の言論を理由に幕僚長を更迭された事実が、言論・思想の自由を保障する憲法に違反すると争った場合、9条の解釈問題もからまって、けっこうややこしいのではないか、と。するとその高官も、退職自体は定年退職なので争いようないが、幕僚長から更迭された事実はそりゃ、その気があれば争えるだろう、ということだった。だからこそ、懲戒免職を行いたくても行えない。まじめに審理すれば、せいぜい誡告処分が関の山であったかもしれない。 

 

 

■ところが世論の勢いをかりて、野党が6000万円の退職金を受け取るのはおかしい、300万円の論文賞金を受け取るのはいかがなものか、と言い出した。この6000万円の退職金を受け取るのはおかしい、ということの論拠は法律的なものではない。常識という名の世論というか、世論という名の常識というか。

 

 

■この問題については素早く穏便に済ませるのが得策とする政府側は、退職金を取りあげることはできないので、「国民の多くもああいっていることだし、自衛隊に迷惑をかけたと思うのであれば、退職金を返納してはいかが?」と言った、というわけだ。もし、この要求に田母神氏が応じて、問題があっさり片づいたら、ああ日本って、不思議な国だな、と思う。法律より世論という名の常識が強いって、法治国家としてはどうよ、と言いたいけれど、そういう風に丸く収めることをヨシとするのが、日本的なのか、と。

 

 

■6日夜の首相ぶら下がり会見で、田母神氏の退職金返納問題について質問が出たが、懲戒処分にしないで、退職金自主返納で決着を付けようとしている、という論点ばかりがクローズアップされていた。でも、懲戒処分にできないからといって、大臣が一公務員に退職金を「自主返納を求める」とは、見方によってはパワハラじゃないか、とか思わないのだろうか。正面切ってぶつかりあえば、言論の自由、法治国家の有りようがとわれる問題ではないか。たぶん、アメリカ人なら、懲戒処分にできない=退職金はもらって当然、というような、黒でないなら白、白でないなら黒、というきっぱりした判断を下すのではないだろうか。

 

 

 

 

■幕僚長の立場で、現行憲法に反する発言、政府見解に反する発言を公にすれば、不必要な対外摩擦を引き起こし、国民の憲法および政府に対する不信感をさそい、組織の信用を貶めた、という意味で幕僚長の任に適切でない、という判断自体は今の時代において、私もきわめて常識的だと思う。

 

 

■でも、常識というものは時代によって変わるものだし、国によっても違う。日本の常識は世界の非常識、と言われることもある。ひょっとしたら、10年後の日本は、田母神論文の主張が常識になっていることもある?かもしれない。そう思うと、やはりものごとの判断は、常識という曖昧な規準より、めんどうくさくても原則に照らしあわせ、審理なり、選挙なり、法的なプロセスをふんでくだされるのがよりよいと思う。そして、その過程ででてきた曖昧さを、さらに大勢の人が吟味して論議して少しずつ、物事が改善されていくのではないだろうか。

 

 

 

■ちなみに、公務員の論文の応募自体は、専門知識を研鑽する上でも奨励されるべきことだと思うが、ほとんど一般には名前もしられていない民間懸賞論文が300万円という破格の懸賞金額で、235の応募総数のうち78が航空自衛隊員の作品で、主催企業のトップが航空自衛隊の金沢友の会の会長も務めて、田母神氏とも昵懇であったという点においては、私も若干の問題を感じている。せっかく最優秀賞をとっても、こういう関係がもとにあったら、当然ケチがつくし、主催企業の業種によっては、癒着だとか贈賄だといわれかねない曖昧さがあるように思うのだが、どうだろう。

 

 

 

 

 

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総理番のお仕事③ノーベル賞受賞者が官邸に来た!

2008/10/31 19:49

 

■今年のノーベル物理学賞受賞者の京都産業大学教授の益川敏英、日本学術振興会理事の小林誠の両氏が31日夕、首相官邸の麻生太郎首相を表敬訪問されました。噂の益川トークが聞けると思って、ぶら下がり取材。以下詳報。(さすがに、これはニュースサイトには出ないだろうから、ブログで)。基礎ほど大切。地味にみえる学問ほどおろそかできない。これは仕事にも言えることだと思いました。
 
 
Q総理からどのようなお話がありましたか?
 
小林誠氏:明るい話題でうれしい、というようなお言葉が。
 
益川敏英氏:明るいのかな?あの、郷先生(お茶の水女子大学長・郷通子女史)が僕のいいたいこと全部代弁してくださったので、この前のようにへんなことをいわないですみました。基本的には後継者の養成の問題とか、基礎科学を枯らしたら下流まで枯れるよと、ま、違うことばだったと思いますがおっしゃってくださいました。総理もそういう言葉を認証してしてくださいました。僕がいつも思い出すのは、東北のある寒村でかきの養殖がさかんな地方で、ある時からかきがとれなくなった。どうしてかというと、そこに流れ込んでいる川の上流で開発が行われていた。で栄養がながれてこなくなった。基礎科学から本当に人々の役に立つ科学となるまでに100年かかるんですね。だから上流を枯らしてしまったら100年後に未来はなくなる。
 
 僕はいろんな話しをするために、バージョンつくったんですが、電磁気学のバージョンやら七つかそこらあるんですが、基礎科学が枯れたら100年後があぶない。で、今、われわれたまたまノーベル賞がいただけた、でも考えてみると20年、30年前の仕事なんですね。だから今の状態が、いいのか、別の問題でよく検討してみる必要がある。僕はだめだといっているんではないんですよ。よく検討してみて、いったいどうなんだ、発展させるためにはどうするんだと、で、今おこっていることのなかで、大学の独法化ということがあって、そのために大学自身がお金のもうかるような学問、そちらの方に傾斜しかかって、僕、傾斜しているとはいわないけれど、今ふんばって、大学が基礎科学に対して、人材もお金も手当することを考えないと大変怖いことになると、僕は思います。
 
Qそういうお話を総理にされた?
 
益川:有る程度はね、郷さんがしてくださったので、あんまり僕が前みたいにへんてこなこといわないですみましたけれど。郷さんは淑女ですから、きれいな言葉でおっしゃいましたが、僕みたいなトリッキーな言い方をしませんでしたけれど。
 
Q総理の言葉で印象にのこったことは?
益川:やはり基礎科学を重視していかなあかんというお言葉をいただいたことは、大変心強いことだと、僕は思っています。実際政治の中でどういう風に実現していくかはまた別ですが。そういう視点をもっていただいたことはありがたい。
 
Q同じ質問ですけれど、小林先生。
小林:同じですけれども、皆さんから基礎科学から力強いサポートの言葉をいただきましたんで、そのことは心強いと思います。あとは、われわれの仕事のご説明したんですけれど、それに関連して、素粒子のいろいろなプロジェクトが世界的に高い評価を受けているわけですが、そういうのを維持するために、これからいろいろ基礎科学のプロジェクトをどう取りあげて、どう評価して、プライオリティをつけるか、そういうメカニズムが必要ではないかということを少し申し上げました。
Q総理はそれに対して?
小林:直接の答えはなかったと思いますが、みなさん肯定的に捉えていただいたのではないでしょうか

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コメント欄がいっぱいなので、ここでまとめてお返事

2008/10/30 21:28

 

■追加経済対策が発表された。これについてはウェブで速報しているので、よくごらんください。正直、私はこの対策が吉とでるのか凶とでるのかわからないよ、まだ政治部一年生の修行中の身だから論評は差し控えさせていただく。ただ、個人的には赤字国債はやらない、ということと、消費税アップを言明されたことはよかったのではないか、と思う。

 

 

■ところで、なんか前エントリーのコメント欄がすごいことになっている。けっして、コメントに腹をたててエントリー更新をボイコットしていたのではなくて、本当にやることがたくさんで、忙しかったのだが、これをどうしよう、と思案して、いちおう読者のお声だから、できるだけお答えすべきかな、と。

 

■で、コメントにひとつひとつお答えすることが時間的に難しいので、ここで私のスタンス、考えを披瀝ておく。ちなみにコメントは2回までというルールは生きている。自分の意見を整理し、妙な応酬の泥沼になることを避けるため。イザのコメント欄はコメントが増えすぎると、システム上の問題として読めなくなるし。というわけで、議論したい方は自分のブログで自説を展開してくださいませ。

 

 

■このブログを長らく読み続けている読者は、私の言論の自由、報道の自由、新聞というものの役目についての考え方はうすうす分かっておいでだと思うが、新しくいらした読者も結構いらっしゃったので、過去エントリーの繰り返しになる部分もあるがお許しを。

 

 

 

■コメントの中で、私を女の敵とおっしゃった方へ。

 

■まず、批判を承知で私のスタンス、気持ちを正直にいおう。自分の所属新聞社の論調にそった質問をしただけで、ネット上で実名をさらされ、写真も添付され、匿名の大勢から罵倒され人格に対する誹謗中傷を行われたのをみて、かばいたくなったというのが正直なところ。もちろん男だって擁護したくなるだろうけど、私は、特に女性には優しい。私の回りの女性たちはみんな、そういう。私の近くにいると、男友達いらない、と。そりゃそうだ、並の男より、親切だし、頼りになるし、金払いもいいし、女の子を甘やかすのがうまい。

 

■もちろん、子供にもお年寄りにも優しいよ。女だから甘えるな、あるいはそんな女を甘やかすやつがいるから、女性の地位が向上しない、といろいろ意見はあるかと思うし、私は自分がフェミニストだとも思わない。けれども、女性に優しくする、それは私が40年、生きた中で培った美学だから仕方ない。女性が美しく笑っていられる社会、それが社会の成熟度のバロメーターだと思っている。私は、女性が背伸びして男社会にむりやり自分をあわせて、がんばっている姿をみると、自然と味方になるし、励ましてしまう。

 

 

■一方、女性に優しくできない、女性を甘やかせない男をみると、なんだ、こいつと思ってしまう。仕事の場で女も男も関係ない、という人もいるけれど、仕事中だって女性は女性だ。毎月生理は来るし、年をとれば更年期だの不定愁訴もある。それは間違っているといわれても、申し訳ない、今更かえられない。甘えているといわれるかもしれないが、仕事だからといって女を捨てなければならないとしたら、悲しすぎる。正直、これが少子化の原因のひとつかもよ。実際、私はあらゆる場面で女性を捨てることを求められてきたので、自分より若い世代の女性たちには、できるだけ自然体でいられることを願っている。

 

 

■というわけで、私はこれからも女性を甘やかす。そして、甘えられることも歓迎する。親しい男性には、女性を甘やかせと、教える。生意気でいけ好かない女がいたら、ちょっと甘やかしてみろ、と。そういう鼻っ柱の強い女ほど、簡単に陥落するから、と。女を甘やかすのがうまい男をみると、お、こいつやるな、と思う。ずっと競争社会の中にいて、うまく女を甘やかせる男にたまに出会うが、そういう男はおおむね余裕があって、能力が高い。産経新聞内でもごくごく少数だが存在する。

 

 

■自慢じゃないけれど、もし私が男だった、もう入れ食い状態だ。男は甘やかされると「バカにするな!」と反発するが、女性は甘えるのもうまい。(もちろん、厳しくされる方が快感だという女性もいるが)。だから、男からはライバル心や敵愾心をぶつけられたことはたびたびあるが、女性から女性の敵といわれたことは、今回が初めてだ。しかし、なかなかいい響きだ、女性の敵。なんか、もてもての悪女になったきぶん。

 

 

 

 

 

■バカな質問をする記者を擁護したことが腹立たしい、メディアのかばい合いだ、という方へ。

 

■まず、記者はナイーブ(幼稚)な質問をしてよい、と私は思う。というより世界中どこでも、ナイーブな質問をする記者はいるし、私もしてしまう。わざとする記者もいる。半分わざと。半分いやがらせ。小馬鹿にした口調や慇懃無礼な口調も。欧米の記者などは、相手がいかに権力者であろうと、いや権力の高みにいる相手こそ、公の場では挑発して見せようとする。彼らの姿をみて、記者とはそういう職業なのだと、私は認識していた。

 

 

 ■くだんの記者は北海道新聞記者として自分の職務に忠実だったと思う。北海道新聞は左傾で、おそらくアンチ麻生内閣であろう。しかし、彼女の仕事を否定すれば、産経新聞の論調にあわせて原稿を書く自分たち自身の仕事も否定することになる。正しい質問、正しくない質問とは、スタンス、ものの見方の問題だ。

 

 

■絶対正義、絶対悪など世の中にほとんどない。私は北海道新聞に多数の読者がいる以上、北海道新聞の社説やスタンスが絶対間違っているとは思っていない。産経新聞とは対極にある、というだけだ。新聞が同じ論調、スタンスでなければいけない、なんて独裁国家じゃあるまいし。それにこの質問しちゃだめ、などと言論の自由を規制するような発言を新聞記者自身がいえるわけがない。それは報道の自由という、私たちにとっての金科玉条を否定することだ。それに、私は職務に忠実な人間は、もともと好きである。以前のエントリーにも書いたが銀河英雄伝説で一番すきな登場人物は、嫌われ者のオーベルシュタインである。

 

 

■異論を呈すること、自分が同意できない質問であっても、その質問をすることを妨げない。権力者に対して、記者はあらゆる質問がゆるされる、それが自由社会の誇りだ。ただし、これは建前で、日本の報道の自由が実はそこまでのレベルに達していないこともわきまえている。暗黙のタブーの質問というのはあるのだ。だから、日本の報道の自由度は国際社会の中では、そんなに高くない。しかし、今回の北海道新聞の質問はその暗黙のタブーに類するものではないと思う。また、言葉遣いは丁寧であった。最低限の礼儀は守っていると思う。

 

 

■世界中、あらゆる国で権力者は、記者から意地悪な質問を受ける。コメント欄で書き込んでいる方もいたが、実際、その意地悪な質問をいかにスマートにかわすか、あざやかに切り返すか、多くの民主国家では権力者は研修をうけたり、訓練するそうだ。それが、大きな権力を持ち責任をになうリーダーの資質の一つとみなされている。これは大企業、多国籍企業のトップもおなじことで、私の知り合いのリスクマネージメント会社社長は、北京の外資系企業トップに対して、記者会見の記者のあしらい方の研修を行っていた。

 

 

■事実がどうかは別にして、建前として記者は権力に対等に向き合うことができる。だから第3の権力と呼ぶ。たしかに、日本のように若い未熟な記者が最高権力者に直接質問する国は少ないかもしれないが、ベテラン記者だって、ナイーブ(幼稚)な質問をする。彼らの目的は権力者を怒らせることで、その本音を引き出すために、わざとナイーブな揚げ足をとるような質問をするのだ。問題の本質とは違う、そういう質問をする、それは新聞記者として正しい姿か?と問われれば、異論はあろう。

 

■もし、読者が権力者の素顔、虚をつかれたときに思わずでる本音などをみたい、知りたいと願っているとしたら、それはメディアとして記者として真っ当な仕事のしかただと思う。もし読者、そんな意地悪な質問をして、権力者様をこまらせるな、権力者様はわれわれのために働いてくださってお忙しいんだバカヤロー、と思うなら、読者を味方にした権力者の勝ち、新聞は権力者におもねるしかない。

 

 

■ちなみに、福島がナイーブな質問、というのですぐ連想するのは、やっぱり江沢民・前国家主席に青筋をたてさせた香港記者の質問だろう。

 

 

■2000年10月、当時の中国国家主席の江沢民氏が北京で開いた記者会見で、香港記者から、「北京が支持したから、(来年任期が切れる)香港特別行政区の董建華行政長官の続投は当然ではないか?」との質問を受け、江沢民氏が「ユア トゥー シンプル、サムタイムズ ナイーブ」と青筋たてて怒ったのだ。この質問は、はっきりいって自明の理なので、わざわざ質問するようなことではない。幼稚というなら、そのとおり。もし江沢民氏が「香港の行政長官は選挙によって選ばれている」とふつうに切り返せば、ニュースにもならなかった。しかしキレた江沢民氏は「香港記者が他国の記者より勝てるのはかけっこくらい」とか香港記者のレベルをこきおろす発言を延々つづけた。このニュースが香港でトップニュースになったどころか、世界中のメディアで取りあげられたことはご存じであろう。今も江沢民的ナイーブという言葉が、いろんな場面でメディアで使われるくらいである。

 

 

江沢民様はお忙しいんだ、香港記者のあほな質問に怒って当然だ、という論調は国内でも少なかった。なぜ?つまり江沢民氏が国民の支持を得ていなかったということである。そして、今回、麻生首相の夜会合のニュースを報じたマスコミ、記者にこれほどご批判が集まったのは、支持率が下がっているといわれている麻生首相は実はコアなファンが大勢いて、国民に人気のある宰相でるということに証明にはなろう。

 

 

 

■マスコミをマスゴミと呼ばれる方へ。

 

■読者が、そのマスコミを否定、批判、論評するのはかまわない。というか当然の権利である。反対であれば、新聞を買わなければいいし、読者には不買運動をネットでよびかける自由もあろう。匿名読者が記者個人の名前や顔をさらして批判するのも、うーん、ありかもしれない。記者とはそういうことを甘んじて受けねばならない職業なのかもしれない。第3の権力だからね。まあ、私は同業者をかばうとかそういう問題ではなくて、誹謗中傷を受けている個人を擁護したいだけだったが。

 

 

 

■では、記者という、権力者に直接相対する権利を与えられた人間は、どのような質問をするのが理想的か。それは読者の聞きたいことを聞くのが理想的だ。私は北海道新聞読者が、夜会合について質問して欲しいと思ったのかもしれない、と理解している。質問が野党に利用されている、政権を悪意をもって傷つける質問だ、と怒るのは、それはイザ読者が麻生内閣支持者の立場から見ているからであって、北海道新聞読者には民主党支持者が多いのかもしれない。その読者にあわせた質問を記者としてすることを、どうして私が個人として批判できよう。産経新聞がそのスタンスの違いから、北海道新聞を批判するのはかまわないとしても。

 

 

 

 

■産経が劣化している、という方へ。

 

■何が正しい、正しくないという基準、何が国益に合致しているかしていないか、といった基準の多くはスタンスの問題であり見方の問題であることが多いから、私は自分の原稿が直されてもいいし、産経の主張が自分の意見とずれていても、まあ、こういう見方もあるわな、と社の論調に会わせた記事を書く。おおむね納得しているけれど。ただ、ブログは、記者の個人の意見を書いてよい、と社から許可を得ている。産経新聞社は記者個人の言論の自由を認めるというスタンスなのである。それゆえ、ボツ原稿もこのブログで収容できる。というわけで、私がブログで書いていることは私のスタンスでの意見で感覚であり、産経の許可を得ているが、産経を代表する意見ではない。だから、このブログで書いていることが気に入らないからといって、産経が劣化しているとは思わないでほしい。 まず、これがひとつ。

 

 

■で、思うに、日本の新聞は良くも悪くも完全なる商業ジャーナリズムである。社会の公器、といっても、それは読者が新聞にそうあるべきことを求めるからだ。もし読者が新聞に社会の公器たることをもとめなければ、すぐに堕落する。オピニオン・リーダーといっても、読者の価値観と乖離しているオピニオンは絶対出ない。新聞が世論操作をしている、世論をあおっている、という言い方があるが、視聴率を稼ごうと、読者を増やそうと、世論や匿名読者にメディア、新聞が踊らされる部分もある。

 

 

■というわけで、新聞を堕落させるも、正道にもどすも、読者次第だ、と言わせてもらう。もし産経読者が産経はへんになった、堕落した、と考えられるなら、そう主張する場が、イザにはある。コメント欄が手狭なら、ご自身でブログを開設されて、そう主張されるのがいい。それで産経が再びよくなることもある。産経新聞は、かなり気にしながら、イザ内の読者の声をチェックしているはずだから。そういう意味で、産経は、あまたある新聞の中ではかなり真面目に、読者の期待に応えようと努力している新聞だと思う。

 

 

■そして、読者のみなさんが、これほど主張しても、それでも産経が〝正道〟にもどりそうになかったとしたら、それは産経の読者層が変わってきている、ということではないだろうか。産経が読者の反応を吸収する場はイザだけではない。販売店の感触とかが結構大きい。その中で、これまでの論調や記事スタイルでは部数が減る、もっとナンパなネタを増やそう、リベラルっぽくなろう、と判断されれば、そうなることもあるだろう。

 

 

■とりあえず、もうしばらく静観されてから、産経の方向性を見極めてから、支持するか見捨てるかを判断されてはいかがかと思う。ちなみに、バーのルポは、私もあまりデキは良くないと思いつつ、まあ偉そうに人の原稿にケチをつけることもできる立場ではありませんので。 

 

 

 

 

 

■新聞社入社がコネばかりだと信じこんでいらっしゃる方へ。

 

■コネ入社がまったくないとはいえないがコネ入社では有用な人材が集まらないのはどの業界も同じだろう。ちなみは私はコネではない。父はサラリーマン、母は専業主婦。家はずっと読売新聞を購読。もちろん入社面接で、家は読売新聞をとっていますなどと正直にいってはならない。 

 

 

■新聞記者がブンヤに甘んじていてはいけない、と思われる方へ。

 

■私が若かったころ、大ベテランの先輩記者に、新聞記者の仕事はゴミみたいなものだ、思え、と教えられた。それについて、記者の仕事に理想をもっていた私は激しく反論した。自分の仕事をゴミだと思ってやってられるか、と。しかし、先輩はいう。「 新聞はたった一日、誰かの、人の心をあっためて、翌日には捨てられる石炭がらのようなものだ、とコラムニストの石井英夫さんは言った。そのとおりで、われわれの仕事は、たった一日、読者が手にとり、翌朝にはゴミでしかないこの新聞を作るために、犬のように忠実に働くのである。でも、私はそういう仕事に懸命であることに美学を感じる」

 

 

■今、先輩のことばを思い出すと、なんとなく、彼の言いたかったこともわかり、すなおに自分の仕事はゴミのようなものだ、と思うことができる。時に人も傷つけることがある記者の仕事は必ずしも人に自慢できる仕事ではないし、社会に有用であると信じて発信している情報も1日たてば人が振り返りもしないゴミの山である。権力に近く、あるは第3の権力とよばれるほど影響力があるからこそ、自分たちの仕事は実は大量のゴミを作っているにすぎない、という少々卑屈なまでに謙虚な意識が必要だと思う。

 

 

■先輩は、記者が自分がえらい、正しい、りっぱな仕事をしていると、と思ったら終わりである。そう言いたかったのではないか。ペンは剣より強し、新聞が政治をつくる、と教えるベテラン記者もいるなかで、彼の言葉は私にとっては最も重く、いろいろ思い出しては自分を戒めている。ちなみにその先輩が私に言ったもう一つの言葉は、「記者は権力者の近くにいるので、自分を権力者だと錯覚することがあるから気をつけろ」。権力に相対することが出来る権利を有するのと、権力をもつのとは違うのだということは、いつも自分に言い聞かせなくては、と思っている。

 

 

■毎日つくる新聞にある無数の記事の中でどれかひとつでも、読者の誰かの心にとまる記事があればいい。ただ、その記事ですら、翌朝になれば役目をおえた石炭がらなのである。私が先輩から教わったの新聞記者の美学とは、華々しく特ダネをとることでも、社会の木鐸たることを誇るでもなく、日々、誰かに読まれて、そして捨てられてゆく運命の新聞を、ときに誰かを傷つけることがあっても、ひょっとしたら別の誰かの役にたっているかもしれない今宵かぎりは、と信じて体を張って作り続ける、ということだった。私がそのような記者である、とは言い難いが、そういう仕事をしてきた先輩を今も一番尊敬している。

 

 

■最後に、麻生首相、麻生内閣について。

 

■私個人は官邸記者クラブにきたばかりで、目下修行中の身。日本の政治や政治家について論評できる見識はまだ、もっていない。漠然と民主主義は社会主義より好ましい、と思っているくらいだ。だから麻生首相についても漠然としたイメージしかもっていない。

 

 

■先日、「太郎さんの秘密」という本を読んで、へぇ~、面白い人だと、ごく平凡な感想をもっている。誰かが言っていたが、3メートル以上はなれて麻生首相をみるとバカにみえるが、半径1メートル以内に入り込めば心酔する、そういう人物らしい。半径1メートル以内に入るのは難しいですか?と、周辺の人に聞いたら、難しくはないが、そのエネルギーについていくのが大変、だそうだ。しかし、そういうエネルギッシュな部分はリーダーの必須条件だし、病弱なリーダーは確かに困る。中国の指導者はどんなに歳をとっても髪を真っ黒にそめる。自分を元気に見せる、これは国家指導者の第一条件だ。

 

 

■麻生首相の演説は面白いと思う。易しい言葉で自分の考えを伝えようという意気込みが伝わる。時間の許すかぎりぶらさがり取材に応じてくれる姿勢も、記者として歓迎すべき点だ。

 

 

■ファッション、見た目はいいほうだと思う。着こなしなどはスタイリッシュで、外交の場では、こういうスタイリッシュさは絶対有利だろう。英語もお上手らしい。そんな外見、関係あるのか、と怒られそうだが、関係ある。そういうもの、パブリックイメージというのは、外交においてものすごく影響力があるのだ。つまり、中国国民がテレビで映った日本首脳をみて「アソウさんかっこいい!」と思えば、外交は半分成功したようなもの。どちらかというと強面の麻生首相は海外ではタカ派ととられていたようだが、先日のASEM外交ではそういうイメージは払拭されたようだ。海外でも若者の間では「ローゼン閣下」の名前で知られており人気がある。外相経験もあるし、英語も得意であれば、外交ではポイントがあげられそうな条件、ムードを持っていると思う。

 

 

■というわけで、どちらかというと好ましく感じているからこそ、失言などは心配している。べらんめぇ調は個性だが、記者あしらいは、ファッションと同じくスタイリッシュに決めてほしい、と思うのは、お忙しい首相閣下に過分な願いだろうか。だが、いうだけならタダだから、いってしまうと、皮肉や嫌味もいいがプラス、ウィットは人に大物の印象を与えると、思う。これは愛しの胡錦濤国家主席閣下にも伝えたい。会見場に大紀元記者が紛れこんでいても、ウィットで切り返せるようであれば、欧米社会の中国への評価は変わると思うよ。朱鎔基首相なら、うまくやっていたかな?

 

 

■しかし、2回も続けて政権を放棄した自民党に依然、執政党として一番期待せざるを得ない日本の政治 って、なんかな~、と思っているのも事実である。アメリカは共和党が政策ミスをおかせば次は民主党、という風に、いずれの党も政権担当能力があるのに、どうして日本は、そううまくいかないのだろう。

 

 

民主党寄りの友人は「民主党の人材も磨かれる場が必要なのだ」と主張する。つまり与党となって、野党からいちゃもんつけられ、記者からナイーブな質問を浴びせられ、自身にどういう能力が必要か思い知る場にたたされて磨かれなければ、民主党はダメになる、と。そうなれば日本の民主主義の損失、いや崩壊ではないか、だからもう一度くらい、民主党に政権を任せたい、と。

 

 

解散・総選挙がいつになるかは、まだ分からないが、意義のある国民の審判が下されることを願う。

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総理番のお仕事②庶民宰相か孤高のリーダーか

2008/10/23 19:55

 

■麻生首相がぶらさがり取材で、記者の「夜会合」の質問に不快感をかくすことなく答えていた。産経のウェブサイトは全文掲載なので、お読みいただいた方も多いと思う。質問者は、北海道新聞の比較的若い女性記者で、なかなか果敢な方で、北京の記者会見での自分を見る思いだ。iza読者の反応をみると、重箱の隅をつつくような質問だ!質問のレベルが低いとマスコミを批判されているむきも多いようだが、首相の素を引き出した点は北海道新聞記者としての面目躍如といえよう。

 

 

■さて、iza読者に比較的多かった批判的ご意見の中には、果たして宰相は庶民派であるべきか、そういうことが、宰相の資質として問題にされるようなことか、という意見。金持ちなんだから高いところで飲み食いして何が悪い、という意見。多忙を極める一国のリーダーが記者の質問(しかも結構くだらない?)に1日2回も答える必要があるか、海外でもそんな国ほとんどない、という意見。マスコミだって庶民じゃないんだから、おまえらが言うな、という意見、などがあった。

 

 

■福島個人の意見をいわせていただければ、別に宰相が庶民派である必要がない。庶民の気持ちが分かることと、的確な政策が打てるかは別。時には世論にさからって、痛みを伴う改革をやることが中長期的に国益につながることもあろう。民主主義国家の指導者の欠点とは、短期的な国民の人気取りを優先させて、長期的な視野でいたみを伴う政策をうてない、ポピュリズムに陥いる、ということだろう。消費税なんて、その典型かもしれない。ただし、これはどこの民主主義国家も抱える悩みのようだ。独裁国家が、高い経済成長を長期に誇る秘密は、庶民の不満を抑えこんで、GDPの数字を追及できるという背景もある。

 

 

 

■私が比較的長期にみてきた中国では、温家宝首相が庶民宰相のイメージを自ら努力して作り上げてきた。春節のたびに、貧困地域にいき、農民と一緒にギョーザをたべ、そのようすをCCTVや人民日報が報じる。四川大地震の現場にいき、犠牲者や被災者のために、テレビの前で涙を落とし、地方の幹部に行動が遅いと叱責したり。このおかげで、温家宝首相は中国では非常に人気者だ。学生やネットユーザーらからは、宝宝(宝ちゃん)なんて呼ばれて、支持されている。

 

 

■しかし、温首相が本当に庶民か、というと、そうではない。彼の息子、温雲松氏は常に株のインサイダー取り引き疑惑や、首相ジュニアの立場を利用した利権構造の中心にいるとの噂がたえないグレーゾーンの人物。ちなみに、私が北京にいたときは、彼の名前(温雲松)でネット検索ができなかった。

 

 

■また、指導者として有能であったか、というと、そうでないと見る向きもある。彼のマクロ経済政策が失敗であった、として長老らの批判の矢面にたたされた時期があったのは確か。共同通信が温家宝首相引退説をした時期だ。共同通信は、外交部から誤報だと、強い抗議を受けたと記憶している。しかし、実際、内幕では温首相は、経済政策の失敗に対する強い批判に心身共に非常に弱っていた時期で、引退を口走ったりほのめかせたりしたことは十分想像できる。中国のマクロ経済の舵取りの難しさを、温首相の責任にしてしまうのは酷かと思うが、うるうる涙流して、国民の同情ひいている場合かよ、だめじゃん、とひそかにつっこんだりしていた。

 

 

温家宝首相の前の首相、朱鎔基氏は、「赤い経済皇帝(ツァーリ)」と呼ばれたワンマン宰相だった。その手腕は外国人と国内知識分子に高く評価されているが、庶民に蛇蝎のごとくきらわれ、恨まれている。彼の打ち出した「朱鎔基改革」こそ、今の中国の貧富の格差を拡大した元凶、と庶民らには思われているからだ。実際、彼の打ち出した国有企業改革は庶民の「鉄飯碗(安定した就職、生活保障)」を奪い、失業を増加させ、庶民の社会福祉を奪うことになり、その傷跡はいまもいえていない。彼が導入した分税制は、いまの慢性的地方財政赤字の一因ともなり、都市再開発に農地の土地強制収容を許容するやり方が、失地農民を生み、貧富の差を広げる恰好となった。

 

 

■また経済成長による一党独裁維持が彼のポリシーであり、2000年の台湾の総統選3日前の全人代(なんちゃって国会)閉幕首相記者会見の場で、テレビ画面を通じて、台湾の有権者に「台湾人民が賢明な選択をすることを信じている。そうしないと台湾住民はひどく後悔することになる」と恫喝したやくざ顔が印象にのこっている人もおろう。

 

 

■中央銀行(人民銀行)の総裁を解任してみずから総裁にたって金融改革の大なたを振るい、ハイパーインフレによるクラッシュを食い止めた手腕、中国外貨準備高を7倍に引き上げ奇跡的な経済成長を実現し、GDP規模世界4位、今年は3位?という今の地位の礎を築いた業績と、目的遂行のために犠牲をいとわぬ非情さ。その功罪はまだ定まっていないが、誰もなせなかった改革を、「壮士腕を断つ」覚悟で、自ら悪役、恨まれ役を買って出ても始めたという点は間違いないと思う。私は、テレビカメラの前で庶民に同情して涙をうかべる庶民派宰相より、やくざ顔で非情なまでに任務に忠実な孤高の鬼宰相の方に敬意を抱いている。

 

 

■国の舵をとる首相が庶民派である必要はない。ただ、自分についても人に対しても偽らぬ人間、信用するにたると思わせる人間であることは重要だろう。少なくとも偽っていることがばれないのは、一国の指導者の資質であろう。朱鎔基という人は率直であり、クリーンであるというイメージは彼を支持する人も批判する人も共通にもっていた。

 

 

■と、話はずれたが、私は麻生首相が庶民派宰相である必要を感じていない。だって、どうみても庶民ではない。松本純官房副長官のホームページに麻生邸の写真が公開されていたが、本当にこの人、現代に残るお殿様なんだ、と感じ入った。いいではないか、セレブ首相で。庶民派の演技をする必要がどこにあろうか。

 

 

■「庶民の感覚からかけ離れている」といわれれば、「庶民ではありませんので」と答えれば、意外にウィットも感じられて、誰もが納得できたかも。そのかわり、小さいころからたたき込まれてきたという帝王学、政治学でもって必ず日本経済を3年で建て直しますから、とか大見得きればよかったのだ。そこまで、けれんみを出さなくても、普通に、警備の都合上、ホテルでの会合が一番合理的です、と無難に答えればよかった。これは面白くないけれど。

 

 

■22日の首相ぶら下がり取材で、私は幹事社として一問目の質問をしたあと、北海道新聞VS首相のバトルを目のあたりで見物させていただいた。マスコミの質問のレベルが低い、と批判する読者もいるかもしれないが、レベルの低い質問であろうがなかろうが、うら若い女性(記者)にむかって「今、聞いてんだよ。答えろ」と、一国の宰相が、そんなふうにすごんでどうするよ?と心の中でつっこんでいた。実は。

 

 

■首相が動く場所に、番記者がぞろぞろついていかねばならないのは、記者個人がどうこうできる問題ではなく、私たちが会社から給料をもらっている以上しなければならない任務なのだ。SPさんと同じように、使命を全うしているだけ。そこを逆質問されても、「迷惑にならないように気をつけている」と答えるしかない。(本当に、迷惑にならないよう、いつも気をつけています。でも迷惑を感じてらっしゃるお店があれば、本当にすみません!)

首相が動けばSPも記者も動かねばならない。もし、首相が「番記者もSPも大変だろうし、きょうは早く帰って、資料でもよみこむわ」とかいって一週間に一度くらい午後7時前後に帰ってくれたら、きっと番記者の間での麻生首相の支持率はぐんとアップするだろう。

 

 

■記者はときに無礼な質問もレベルの低い質問もする。分かっていてする場合も、無知ゆえにする場合もある。しかし、記者もそれに、さすがと思わせる返答をするリーダーを期待している。朱鎔基氏の全人代閉幕会見の見事さは、いまでも外国人記者の間でかたり草だ。彼は京劇役者みたいに、ちょっとみえをきったりする。しかも、その答えは、毒が耳かき一杯、ウィットが小さじ半分という絶妙なあんばいで、聞いて思わず、好(ハオ)!、と拍手したくなるほどだった。中国の首相記者会見は、事前に質問する社が指名され、質問内容も事前提出しなければならないが、朱鎔基氏は必ず会見のおわり近く2人ばかり予定にない記者を当てた。そして、予定されていない質問に、そんな風に見事に答えることができた。彼は孤高の鬼宰相であったが、その会見の受け答えの中で、分かる人にはその知性と人間性をかいま見せることができた。

 

 

■麻生首相が所信表明演説で語った「日本経済全治3年」というのは、かつてのオイルショック後の日本経済の混迷を建て直すさいの、当時蔵相であった福田赳夫元首相の言葉を引用したとか。そういえば朱鎔基も、3年でめどをつける、と公約して朱鎔基改革に乗り出したのだ。

 

■麻生首相1カ月目。私の総理番もほぼ1カ月目。いまだ番記者仕事にはなれないまま、麻生首相がどういったタイプなのかは把握しきれていない。ワンマンにみえて、意外に人の意見に耳を傾けるタイプらしい、という話は聞く。ひそかに親近感もわいてきた麻生首相は、温家宝タイプではなく、朱鎔基タイプの宰相であったらいいのに、というのが、すなおな感想である。

 

 

 

 

 

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ネットとブログと北京と私

2008/10/15 19:42

 

■きょうは、インゲン事件をふまえて食の安全学、食品テロの恐怖について、とりあげようと思ったのだが、先日(16日)の社論会議で、「ネットとブログと北京と私」というふざけたタイトルで、帰国報告したので、その覚え書きを書いておく。

 

 

■社論会議とは、社内、つまりうちわの会議だが、社長や会長がいる前で、1時間くらい話さなければいけないので、けっこうあせった。あせって、質問にうまく答えられなかったので、ここで改めてまとめておこう。食の安全学は次か次の次に。

 

 

■ネットとブログと北京と私

インターネットがメディアをかえる?

中国独裁をかえる?

 

 

 

 

中国という、〝独裁国家〝での記者生活で、インターネットというツールは非常に有用であった。北京駐在期間、朝、起きるとともにネットをつなぎ、主要なニュースサイトをチェックする。そうすると、中央紙から地方紙まで、全国のニュースが網羅でき、しかも読者のアクセス数が多いもの、当局が重視しているものから優先的にニュースを拾うことができる。検索サーチを使えば、類似の記事や論文、専門家の見方や読者の反応を調べることもできる。記事や論文の書き手がブログを開設していれば、もっと深く調べることも、連絡をとって質問したり討論することもできる。もちろん、紙の新聞をみて掲載面を確認する。

 

 

■しかし、その一方で厳しいネット統制もうけた。アクセス禁止、メール送受信妨害。ブログをはじめてからは、ブログのアクセス禁止も受けた。香港、台湾の一部新聞のオフィシャルサイト、チベット亡命政府や人権、キリスト教関係サイト、大紀元、博訊など、反中国的ニュースサイトは原則、中国のプロバイダーを経由してはアクセスできない。また、検索エンジンに、検閲ワード、たとえばチベットという言葉を打ち込むと、チベット観光のサイトばかりで、チベット亡命政府や人権関連のサイトは現れないし、つながらない。当局の気に入らない記事が、産経MSNニュースやIZAに掲載されたら、そのページだけアクセス禁止になる。ちなみに、アクセス禁止になりやすいテーマのひとつは、「ネット統制」である。

 

 

 

 ■中国の「ゴールデンシールド・プロジェクト(金盾工程)と呼ばれるネット統制システムは、国内のプロバイダーを蛇口の口として、そこをとおれば、特定のページにアクセスできず、またユーザーIPアドレス(パソコンの識別番号)をチェックして、そのパソコンのアクセス分析を行ってそのパソコンの持ち主の政治傾向を判別し、監視を強化したりブラックリストに入れたりすることもある。他の人が簡単にアクセスできるのに、私のパソコンからはどうしてもアクセスできないページがあるのは、このためだ。この検閲統制システムは米国の超有名システム企業が構築したとされるが、多くの専門家から「現存するもっとも洗練されたネット統制システム」と評されている。

 

 

 

■この検閲をさけるためには、中国の国内サーバーをさけて、国際電話で外国のサーバーを経由したり、プロキシ(代理サーバー)を通してアクセスする。プロキシはIPアドレスを匿名化するので、IPアドレスからたどる検閲はできない、ということになっている。ただ、最近は同じプロキシを頻繁に使うと、そのプロキシが当局の監視下におかれ使えなくなることもある、らしい。ただし、プロキシというのは星の数ほどあるので、また別のプロキシを使えば、またアクセスできる。そういういたちごっこを、中国でネットを活用しようとする人たちは続けている。

 

 

 

■さて、私がブログを開始すると、当局からもかなり注目を受けた。私が07年暮れ、中国外交部からビザ更新を渋られた理由は、ブログの記事が原因だった。指導者を揶揄する口調の記事などについて、中国および中国人民を侮辱し、感情を傷つける、というふうに受け取られた。上司によれば、外交部は私のブログエントリーを全部印字して、赤字チェックをつけ、問題箇所を読み上げて、「福島記者は2002年に北京駐在以来、一貫して中国に悪意をもって中傷する記事を書いてきた」などと、かなり激しい調子で批判したたという。この一件以降も、ブログ記事の内容に対して、外交部以外の某所からも厳しい警告があり、たかがブログなのに、ここまで熟読されているのかと、おそれいった。

 

 

■その一方で、普通の日本語のわかる中国人読者もけっこう多く、そういう読者とオフラインで会うなど、新たな出会いをもたらしてくれた。ブログコメントで批判的だった中国人読者が、実は銀河英雄伝説オタクで、実際あってみると意気投合したことも。ブログをみた(反体制?)中国人や中国人記者から、電話をもらったり、情報交換したりしたこともあった。ブログをやったことで、新たなニュースソースを開拓することもできた。チベット騒乱についての欧米報道に反対する愛国主義の若者が立ち上げた反CNNサイトで、名指し批判される栄誉もうけた。

 

 

 

■たかが、ネット。たかがブログ。なのに、なぜ、当局はここまで目くじらをたてるのか。それはネット、ブログに国境、国籍はなく、日本語で日本人のために書かれた記事でも、国内外に在住の日本語のよめる中国人に影響を与え、なおかつ翻訳して国内ブログや掲示板に引用することで、中国語しか読めないネットユーザーの目に触れる機会も少なくない、という点だろう。伝播スピードも速い。そして、中国におけるネット社会の規模の大きさもある。

 

 

■ここで中国におけるネットの状況を紹介しよう。中国は世界最大のネット人口2億5300万人(6月末、CNNIC・中国インターネットニュースセンター調べ、昨年同期比9100万人、56・2%増)をかかえる。今年だけで4300万人増加。この増加率はこれまでの最高の伸び率だ。サイト数もCNドメイン数が1218.8万で世界最多。ブロガーはなんと1・07億人。ネット普及率こそ19・1%と世界平均(21.1%)より低いが、ネット社会は中国において無視できないほどの規模をもつ。ちなみにブロードバンド普及率は84・7%で2・14億人。ブロードバンド普及率も世界一位。

 

 

■ネット・ユーザーは大半は「80后(ポストエイティース、1980年代生まれ以降)」と呼ばれる20歳代、30歳代以下の一人っ子政策世代の若者で、小皇帝と呼ばれるほどに甘やかされていたり、江沢民政権時代の愛国主義教育や受験勉強の詰め込み教育によって、自分でものを考える習慣があまりない世代。ネットの使用目的は、おおむねはオンラインゲームや音楽、映画ドラマのダウンロードなど著作権侵害と表裏一体の娯楽が主流といわれている。

 

 

■だが、同時にネットニュースの利用率も非常にたかく、ネットニュース使用率は81・5%で、2・06億人がネットでニュースを読んでいる。これは昨年12月末以来で8・8%ののびで、かつて数百万部といわれた共産党中央機関紙・人民日報の発行部数が100万部前後に低迷していることを考えると、中国もニュースはネットという時代に突入し始めていることがうかがえる。

 

 

■その証拠に、ネットとメディアの関係も深まっており、CNNICは、昨年上半期の重要ニュースがネットがらみが多いと指摘している。各新聞社が自前サイトを運営しているほか、数百レベルの動画サイトがテレビニュースにとってかわって、重要な役割を果たしはじめている。

 

 

■たとえば、今年1月、北京テレビの人気キャスター胡紫薇女史が、CCTV五輪チャンネル開局式典の中継の場に乱入し、夫(CCTVの人気キャスター)の不倫を暴露。その中継ニュース自体は当局がおさえたが、その映像がネットの映像投稿サイトに流れるという事件があった。これはメディアが、ネットによって統制しきれていないということを示す象徴的な事件として、国家ラジオテレビ映画総局および党中央宣伝部の狼狽と怒りをさそった。このほぼ直後に、ネットの動画サイトの運営規制の厳しい規定が発布されたのである。

 

 

■その規定、「インターネット視聴番組サービス管理規定」は今年、1月31日施行とされた。これは動画サイト運営は国営が原則として、免許制にするというものだったが、この規制は半分は成功し、半分は失敗している。成功の部分とは、動画サイト運営すべてを整理できず、人気動画サイトは存続した。国民、ネットユーザーの批判も厳しく、大なたを振るうことができなかったのだ。半分成功とは、動画サイト運営の自粛傾向が強くなった。

 

 

■これらの現象を考えると、膨大なネット人口をかかえる中国にとって、もはやネットとは統制しようとして統制しきれない存在、さらに現実社会に影響を与える存在として、当局の課題となってきていると想像される。

 

 

■統制しきれず現実社会に影響をあたえた例を見てみよう。

 ①孫志剛事件 2003年3月、湖北省からの出稼ぎ者の孫志剛青年が、広州市で臨時居住証明書をもたないことを理由に地元公安当局に連行され、収容所で暴行を受け殺害された事件を地元紙・南方都市報がほうじ、この事件がネット世論の怒りをよんで、最終的にホームレス収容に関する法律が改正された(2003年6月)。ネット世論が法律を変えさせたのは、これが初めてだ。

 

 

②ネットで広がった新幹線導入反対署名など反日ムーブメント。

愛国者同盟など、反日愛国主義青年のウェブサイトなどで、北京上海高速列車で日本の新幹線導入に反対する署名運動がおこり、一週間あまりでで8万人以上の署名を集めた。日中平和友好条約締結25周年の2003年7月のこと。この署名活動は当局により停止させられたが、結果的に、新幹線導入は棚上げにせざるを得なかった。ネット世論が外交政策を左右しうると印象づけた事件。

 

③氷点事件

共産主義青年団機関紙・中国青年報付属紙氷点週刊の歴史教科書認識に関する袁偉時・中山大学教授の論文「近代化と中国の歴史教科書 問題」の掲載がきっかけで、停刊になったその内幕について、名物編集長の李大同氏が自分のブログで「違法な発行停止処分への公開抗議」(2006年1月25日)というのを発表して、この抗議文が朱厚沢・元共産党宣伝部長ら十三人(江平 李鋭 李普 何家棟 何方 邵燕祥 張思之 呉像 鐘沛璋 胡績偉 彭迪 戴煌)の古参幹部の支持もえて、中国知識人界および海外メディアに波紋を広げて、結局、春節明けの3月に復刊させざるをえない状況になった。李大同氏も更迭されたが、解職ではなく、海外で出版したり講演したりする自由は担保された。ネットが報道の自由の突破口になりうると感じさせた事件。

 

ほかにも数え切れないくらいある。喫緊の事件では、華南トラ捏造写真事件とか。

 

 

 

■ネットはメディアのあり方をかえつつある。地方の都市報でも全国にニュースを発信でき、中央紙をおさえてナンバーワンになれる可能性を等しく与える。そしてアクセス数が広告費をきめる。党の喉舌としての使命を最優先させる従来のメディアとは違う基準が存在し、読者、ネットユーザーの嗜好に敏感になる。もちろん、党中央に対する正面切っての批判、6・4(天安門事件)、チベットなどタブーは依然あるが、そのあたりの報道の自由と統制はせめぎ合いの状況だ。もっともこれは、メディアが従来の「党の喉舌」(宣伝機関)から「人民の目(人民的眼睛)」(世論による監督機関)になる、というより、「金をつかむ手(抓钱的手)」(商業至上メディア)になる、という意味の方が大きいかもしれない。「金をつかむ手」というのは北海道大学の渡辺浩平先生(広報広告論、『変わる中国 変わるメディア』講談社現代新書などの著作がある)に教えてもらったフレーズだ。

 

 

■この商業主義が、第一財経日報(2004年11月創刊)など、メディアの風雲児とよばれる、速報性、的確性を売りにしたニューメディアでしられる民営メディア集団、SMG(上海広文新聞メディア集団)も生んだ。

 

 

■ちなみに、新聞出版総署「2006年全国新聞出版業基本状況」によれば、中国で2006年に発行された新聞は1938紙、発行部数1億9703万部。このうち全国紙221紙の発行部数は3242万6300部(香港・マカオをのぞく)。数は多いが、紙の新聞の発行分野で採算が取れているメディア、というと決して多くない。

 

■こういう状況で、党は従来のメディア統制のやり方では、メディアを統制しきれなくなってきている。そこで、党が新たに考え強く打ち出しているのが、メディア統制そのものの強化だけでなく、メディアを左右する世論、特にネット世論の掌握である。2007年1月に党中央政治局の学習会で、胡錦濤はネット世論掌握について指示をだしている。

 

 

■たとえば「ネット文化建設と管理を強化し、我が国の社会主義文化建設においてネットに重要な役割を十分に発揮させ、全民族の思想道徳の質と科学文化の質を向上させ、思想宣伝工作の場を拡大させ、社会主義精神文明の影響力および感染力を拡大させ、我が国のソフトパワー増強を有利にせねばならない」

 

■「ネット上に思想と世論の場の建設を強化し、ネット世論の主導権を掌握し、芸術性にこだわって、新技術を積極運用し、プラス面の宣伝を強化し、積極的なプラス思考の主流世論を形成する」などなど。

 

 

■具体的にどんなことをしているか、というと、人海戦術でネットを監視し(特に大学内のLANを重点的に)、まずい書き込みは削除し、党や政府に都合のよい書き込みを行う。この書き込みバイトは一本0・5角と、その道に詳しい人からきいた。世論誘導は、すでにビジネス化もしており、私の友人の企業家には、ネット世論誘導サービス企業からのセールスマンから接触があったそうだ。ライバル企業の中傷書き込み500本いくら、という形でセールス電話やメールがくるんだそうだ。普通、1分間に3本書き込みができ、学生にとってはマクドナルドの店員よりは割のいいバイトだとか。なんでも商売になる国である。そういう意味で、ネット世論の信頼性は少し揺らいできている。

 

 

■当局のネット世論の誘導、掌握における成功例は、チベットの事件と五輪聖火リレー妨害に端を発した欧米の対中批判的報道に愛国世論で抵抗した例だろう。反CNNサイトは、IT企業家が独自で立ち上げた、とされているが、あきらかに当局の後押し、援護射撃はうけている形跡がある。こういった意味で、ネットは自由なようで、ツボを抑えれば洗脳(世論誘導)の道具になりうることも明らかになりつつある。

 

 

■ただ、これによって燃え上がった愛国心が、さらに国際社会の心証をわるくし、五輪開催時には愛国世論の火消しにやっきであったことはご存知のとおり。ネット世論掌握(ネットによる国民洗脳)は、実は当局がもくろむほど簡単ではないかもしれない。

 

 

■党中央宣伝部は相変わらずメディア統制のたずなをゆるめるつもりはない。五輪期間中は、国際社会の目を意識して、外国メディアに報道規制緩和を打ち出し、インターネットのアクセス禁止も一部緩和したが、国内メディアに対しては、五輪マイナス報道や地方の社会事件報道を規制する通達も出された。

 

 

■しかし現状をみると、いかにメディア統制をしても、メディアのあり方が大きく変わろうとしている今、激しいせめぎ合いを経て、ネットは中国の報道の自由に通じる突破口をその小さな綻びから開いていくのではないだろうか。

 

 

 

■と、以上のような内容を発表したら、鋭い質問が投げかけられた。中国の貧富の格差は広がっているといわれ、地方では日々、暴動が起きていると聞くが、ネットがそこまで、発達しているのなら、これらの情報がよこにつながり、「革命」がおきても不思議ではない。なのに、なぜそういう状況がおきないのか、と。

 

■報告のときは、これにうまく答えられなかった。そう、なぜ、これほど矛盾をかかえ、情報統制の綻びがみえる中国で、「革命」が起きないのか。

 

 

■ひとつは、ネットユーザーの主力が「80後」の甘えた都市の中産階級の若者であり、農村の問題への関心が薄いためだろう。くわえて農村のネット普及率は都市の4分の1であり、都市部よりもさらに娯楽目的のユーザーが多数を占める。(農民は娯楽に飢えている)

 

 

■つまり貧富の差が、ネット格差となり情報格差となっている。それが知的水準の格差となり、それが貧困と搾取にあえぐ農民が近代的な権利意識や組織力をもてず、人権運動や公民権運動の指導者を育てられない背景になっている。

 

 

 

■ネットユーザーの主流である都市部の知識層や若者は、中国の奇跡的な高度経済成長の恩恵にもっとも浴した層であり、今の世の中を変えねばならないという意識は低い。むしろ強固な共産党独裁が続くことの方が自らの利益にかなっていると考えているだろう。89年に6・4(天安門事件)がおきて、今おきないのは、その後の教育システムによって、発言力や組織力を持つ学生・知識階級、資本家を支配側にくみさせることに成功したからだろう。党は今は農民や労働者を代表するものではなく、私営企業家、学者らの利益を代弁するものに変わった。友人で、反右派運動で弾圧された章伯鈞氏の娘である章詒和さんの口癖ではないが「知識人は堕落した」のである。

 

 

■そういうわけで、党と政府は依然堅牢な一党独裁を維持できている。それはこれからも当分は続くのかもしれない。しかし、地方で毎日のように発生している農民暴動が、かつてほぼ完璧に隠蔽されていたのに、今はリアルタイムに動画投稿サイトで鎮政府の庁舎が焼き討ちにあっている現場映像が統制をかいくぐって発信されるようになってきているのも事実。当局の腐敗と搾取に怒りを募らせる農民と、中国の真なる民主と自由を願う良心的な知識人が、もしネットというものでつながったら、それはやはり、今の体制を揺るがす力となるだろう。

 

 

■そして、都市の知識層と搾取されてきた農民の利害が共通し、ネットでつながり、中国の政治と社会を変えていこうという力になる日がくるとしたら、その最大のきっかけとして考えられるのは、中国経済の失速である。つまり都市知識層も経済成長の恩恵にあずかれず、都市内格差に対する不満を抑えることができなくなったとき。中国が農村改革によって貧困を解消し、共産党の開発独裁的な社会主義市場経済の恩恵を農民も受けるようになれば、党の求心力はたかまり一党独裁はより堅牢になるだろうが、経済が失速し、都市内格差が一層広がり都市の知識層の社会に対する不満が膨れれば現体制は不安定化する。中国の大学生の失業率増というのは、日本の就職氷河期とは時限のことなる危機の要素である。

 

 

■で長々書いたが総括すると、中国政治の未来を決める最大要因は経済の行方、ということになる。そして、WTO加盟後、中国の経済はかなりグローバル化し、世界経済の変動と無関係ではおれない。世界同時金融危機といわれる今、中国経済だけが無傷で高度成長が続けられる、とは信じがたい。

 

 

■中国の経済が失速、あるいは破綻し、農村で今おきているような暴動、抗議活動が都市近郊や都市部に広がったとき。膨大な数の農民不満分子と都市知識層がむすびつくとき、体制を変革していこうと動きは一気に加速するのではないだろうか。そのときインターネットは、彼らの最強の武器になろう。ねがわくば、その前に中国には自ら政治改革に着手してほしいのだが。

 

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