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総理番のお仕事①

2008/10/14 19:06

 

■今の状況では深いつっこみ原稿を書く時間もないので、軽い話題でお茶を濁します。政治部内の用語・隠語のご紹介です。

総理番の仕事ではないのですが、本日はトリテキという仕事をいたしました。(というかさせられた)。トリテキとはテキストを取る、つまりテープおこし。国会や予算委員会の答弁など、中継をみながら、文言をおこす仕事です。時間がかかり、めんどうくさいので、番記者というか、政治部員の若手が動員されます。私も、政治部は一年生ですから、若手。

 

■このほか、今産経新聞は幹事社(記者クラブのお世話係)なので、首相の「ぶら下がり」取材などを設定します。首相のまわりに集まって、質問をぶつけ、答えをメモする仕事です。昼の「ぶら下がり」を「昼ぶら」。「夜のぶら下がり」を「夜ぶら」と、やはり政治部内でしか通じない用語を使います。新聞・通信幹事社は昼ぶらを、テレビ幹事社は夜ぶらを設定します。幹事社は首相の秘書官に、午前中電話して、「きょうの昼ブラは?」と聞くと、午前11時半から、とか時間をもらえるわけです。ただし、きょうみたいに午前午後とも答弁のときは、忙しいという理由で、断られることが多いです。たいてい最初の質問は幹事社(私)ですが、昼ぶらはテレビカメラが入りませんので、私は映りません。

 

 

■このほか、「夜日程」というのがあります。首相が官邸を出て、客人にあったり、会合に出席したり、あるいは秘書官や内輪の人々と食事したりするスケジュールのこと。番記者はこの夜日程にもついて、レストランやバーの外で長時間、首相がごはんを食べ終わるまで待ちます。今は気候がいいので、さほど苦痛ではありませんが、真冬の夜日程はどうするのだろう、今からちょっと心配です。

 

 

■さて番記者の仕事の醍醐味(?)は、やはり「総理ぶら」つまり首相に対するぶら下がり取材です。国家最高権力の指導者に数十センチの距離で近づいて、自由に質問をぶつけられる、こういうスタイルの取材形式は、世界でも極めて珍しいと思われます。

しかも一日原則2回も。記者クラブ所属のメディアなら、批判的なメディアも除外されることはありません。産経はよく、中国公安省の会見を除外されましたけれど、いやな質問するメディアも、答えてもらえるかどうかは別にして、OKです。さらにいえば、質問をぶつける記者は、ベテランではなく、番記者と呼ばれる20代、30代の若い記者が中心で、これも驚くべきことです。

 

 

 

温家宝首相や胡錦濤国家主席に新米記者が自由に群がって質問を浴びせるなんて、絶対ありえません。ブッシュ大統領だってやりません。中国北朝鮮は特別としても、海外の民主主義の国でもふつう、ありえない。そういうことが日本では存在するので、こういう制度を見る限り、日本の政治はかなり開かれているのではないか、カジュアルなのではないか、と思うわけです。まあ、あくまでも制度上ですから本質は、わかりませんが。でも、日本の新聞が首相を漫画で諷刺したりちゃかしたりするのをみると、報道の(有る程度の?)自由のある国のすばらしさを実感します。

 

 

■前回エントリーのコメントで、ぶら下がり記者の質問のレベルが低い、という批判がありましたが、確かにそういう批判が出るのも致し方ない、という場面もあったかもしれません。短い時間で、首相からその日の最も重要な公式コメントを引き出す仕事は、若手記者にとっては、確かに荷が重いかも。というわけで、番記者は、キャップクラスのベテラン記者にお任せしたい、本当は(笑)。もし、首相にこの質問をぶつけろ!と思われるなら、コメント欄に書き込んでくだされば、反映することもあるかもしれません。ちなみに、総理ぶら全文は、産経のウェブニュースで掲載されてタダでみられますよ。

 

 

 

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一ヶ月放置していた、すみません。

2008/10/13 22:57

 

■9月15日に北京をあとにし、東京に舞い戻ってきた。1カ月も放置していたブログだが、数千人の方が日々、訪れてくださることに感激している。ごめんなさい。本当にいそがしかったのです。ええ、政治部がこんなに激務だとは思いませんでした。早く北京に帰りたいです。

 

 

■あたらしい仕事は政治部官邸クラブ所属の総理番。首相が朝出勤する前(午前8時とか?)に、官邸エントランスで待ち受け、ご帰宅するまで(23時ごろ?)、ひたすら、遠巻きについてまわる。首相が、ホテルのバーで飲んでいたら、ホテルのロビーで待つ。待つ。待つ。ひたすら待つのが仕事。一日、誰が首相を訪ねてきたか、時間をチェックし、出てきたらぶら下がり、話を聞き、そのメモ起こしをして、メールで政治部員に送る。総理大臣に会いに来る人ってこんなに多かったのだ、と驚いている。

 

■首相の帰宅を確認して、こんどは首相の秘書官に夜回りをかける。秘書官は6人もいて、そのうち3人が私の担当だ。今のところ、夜回りは1人で手一杯だが、この他、官房副長官、小渕優子少子化担当相などの番を担当している。体がいくつあってもたりません。

 

 

■しかも、その間に家をさがし、生活インフラを整える作業があり、これがまた大変。日本では家を借りるのに、連帯保証人が必要なのだと聞かされてびっくり。礼金、敷金、仲介料といった、中国ではなかった出費もしいられる。信じられない、家借りるのになんで、こんなにわけわからない金がかかるの?ちなみに私が特派員になる前(8年前)は、産経新聞は社宅制度があったので、家探しに悩むのはこれが初めて。日本の不動産業界のあこぎさを改めて知ったよ。

 

 

■兄に連帯保証人になってくれと頼み込み(一人っ子の人とか、家借りるときどうするのだろう?)、借りる家を決めたはいいが、家賃を引き落とす口座をつくろうと銀行にいくと、住所証明がないと、口座が開けないという。振り込め詐欺などの犯罪予防のため、今、日本では簡単に口座が開けないとか。しかし、住所がきまらないと8年抜いていた住民票の転入手続きができず、口座がないと、住居の賃貸契約が成立せず、ちなみに住居の賃貸契約を成立させるためには、印鑑証明が必要だが、これも住民表の入れてある区役所で手続きせねばならない。鶏が先か、卵が先かで、押し問答になって、銀行の窓口だとか、不動産家のカウンターでぶち切れることしばしば。北京のアバウトさが懐かしい。北京なら、不動産屋と仲良くなれば、それで、たいていのことはOKだから。

 

 

■9月28日、無事、家がきまったはいいが、電灯もテレビも冷蔵庫もカーテンも洗濯機も買いに行く時間はない。家財道具も北京から運んでいるので、当初は荷物も、トランク3つ分の衣類しかない。がらんどうの新築マンション1K35平方㍍の部屋に、午前1~2時にもどってきてもまっくらで、手探りで、フローリングの上で寝袋(北京から持参)を広げて寝る生活。夜明けに風呂に入り、身支度して午前7時とか8時に出勤。しかもこの間、組閣、国会答弁とかでものすごく忙しかった。へとへとである。こういう犬のような暮らしが1週間つづいた。

 

 

■見るに見かねた知り合いが、タオルとトイレットペーパーをくれた。買い物にいく時間がないので、よなよな友人宅をタクシーでまわって、カーテン、電灯、せっけん、シャンプー、なべなどをもらった。10月5日にようやく、引越荷物がとどいたが、北京に住んでいたいたころより居住面積が数分の1に減っていたので、荷物がはいりきらない。それをより分け、より分け、なんとか家の中におさめるために2日徹夜した。この間、貴重な資料が、紛失していることが発覚。なぜ、資料がなくなっているのかは未だ不明。抜き取られたのか??これで一冊書こうと思っていたので、ちょっとへこたれている。(友人から古い資料にたよって、書こうとするな、今から取材しなおせ!記憶にあるものから、書き出せ!と叱咤されて、今ちょっと立ち直った)

 

 

■もっか、我が家に足りないものは冷蔵庫。冷蔵庫はすでに注文したので、来週の日曜日に受け取れるだろう。ただし休みが消し飛べば、受け取れないので、また一週間おあずけだ。きょう13日は休刊日だから、てっきり休めるものだと思って、異動の挨拶の手紙かいて、連帯保証人になってくれた兄のところに、お礼を言いにいこうと思っていた。でも結局、仕事が入った。中川財務相がG7の報告を首相にするので、ぶらさがれ、と。で、いつ中川財務相が来るかわからないので、夕方からずっと官邸で待っていた。待つのが仕事だからいいんだけどね。ついでにいうと、その前は首相は選挙用ポスターの撮影をしていた。

 

 

 

 

■その中川財務相のぶらさがりメールを送ったついでに、今、一ヶ月放置のブログを再開せねば、と気づいたのである。で、これを書いている。

 

 

■こんな感じで、のような日々を送っているので、中国、日本のお世話になった方々に異動の挨拶の礼を失している。すみません、もうすこしで、挨拶状、送ることができると思います。日本の生活は、いろいろ新鮮なこともあるのだが、それをかみしめる前に、忙殺されている。

 

 

■さて、今後のこのブログをどういうものにしてゆくか。その方針を決めるまで、今しばらくお時間をください。一応、政治部員なので、日本の政治をテーマにすべきなのだろうなあ。でも、日本の政治も経済も、よくわかっていない。世界同時金融危機に、麻生内閣がどう対応する心つもりなのか、その効果はいかに?とかきちっと分析できれば、そりゃ面白い読み物になるんだろうけどね。今の私には、3中全会のテーマの農民の土地問題とか中国メラミン禍の内幕の方が、比較的よく理解していると思うよ。というわけで、当分は中国のネタなどでしのぎたいと思っています。

 

 

■ちなみに麻生内閣の金融危機防衛策のひとつ、企業の自社株取得の規制緩和(年内限定)が明日から始まるが、それが毒なのか薬なのか、どれほどの効き目があるのか、とか、ぜんぜんわかりません。

 

 

■ただ漠然と思うのは、金融資本主義の崩壊といわれている今回の米国発の世界同時金融危機の本当の処方箋は、新たなる金融システムの構築であって、今の金融システムの延命ではないのではないか、ということだ。どなたか、専門家にお話をききたいところだが、総理番という仕事は、そういう勉強の時間もないので、こまっている。正直、ネットサーフィンで論文をあさるゆとりもない。とりあえず、今の内閣が指示している対策は、モルヒネを打って、痛みをちょっと和らげて、選挙をやろう、というねらい?そういう理解でいいのかな?

 

 

 

 

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さよなら北京

2008/09/14 11:58

 

■引っ越しの準備、どうしても会いたい人へのあいさつまわり、送別会などで、いそがしくずっとブログ更新を怠っていました。本日14日は、私の北京特派員としての最後の1日となります。15日の昼には東京の成田空港に到着しているはずです。北京の国際空港に降り立ったのは、2002年4月30日午後のことでした。期待より大きな不安をかかえてひとりタクシーで京倫飯店にはいったことを覚えています。いま、帰国を前にして、やはり建国門外の京倫飯店に宿泊し、このブログをかいていると、長かったような短かったような特派員生活が走馬燈のように思い出され、鼻の奥がつーんとしてきました。

 

 

■本当は、今晩、以前から会いたいと願っていた老革命家と会ってもらえる予定でしたが、さきほど、キャンセルの電話がはいりました。なんでも、急に体調が悪くなり、入院されたとのこと。もともと外国記者とはあわないことで有名な方なので、私もやはり避けられたのかもしれません。しかし、もう相当のおとしなので、

私が再びこの地に特派員としてやってくるときには(そういうときがあったとして)、果たしてご存命なのかどうか、ひょっとして、もうお会いできるチャンスはないかもしれない、と思うと悲しくてなりません。

 

 

■この国には、激動の歴史の渦中にあり、あるいは目の当たりにしながら、その経験を誰に語ることもなく墓場までもっていこうと決心されている方があまりにも多い。伝えるべきこと、伝えたいことを伝えることかなわず、沈黙を守り通すことを強く求められる、怒濤の勢いで国際化がすすむ中国は、依然そういう部分がのこっている社会であることは確かです。私はそういう人たちにできるだけ多くあって、発表するしないは別にして、いろんな話を聞きたかったのですが、結局、そういう腰をすえた仕事はほとんどかないませんでした。ああ、もっと、いろんな人にあっておけばよかった。時間も人の命も限りがあるのに、日常の仕事(これが結構忙しい)にかまけて、せっかくの北京勤務のチャンスを有効に使えなかったな、と後悔ばかりが残ります。しかし、いつまでも北京を引きずってはいられないので、ここで切り替えて、新しい仕事のことを考えねば。

 

 

 

■帰国後は政治部勤務となります。まだ、何をやるのか、やらされるのかわかりません。何も分からないうちに、いきなり、選挙取材に突入するのでしょうか。でもその前にまず、携帯電話買って、住民票戻して、住むところ探して…。やらなければいけないことが山積みで、少々パニックです。このブログもどうなるのでしょうか。やめろとも言われていないので続けることになるとは思いますが、北京にいないのだから、北京趣聞博客のタイトルは変えないといけません。ですが、日本の政治のことを書けるほど、まだ経験もつんでいないですし、当分は、北京拾話、中国拾話形式で、中国の過去話をぽろぽろアップしていきましょうか。北京にいては書けなかった話も書けるかもしれません。

 

 

■外はいいお天気です。こよいの中秋の名月の美しさは格別でしょう。予定していた会見がドタキャンになったので、親しい友人宅でお月見しながら、まったり過ごすことにします。夜明けとともに、旅立ちます。空港で預けるトランクは大小3つになりました。香港から北京にきたときは、トランクひとつですんだのになあ。増えた2つのトランクは、増えた思い出分の重さかな。さよなら、北京。そして、ありがとう。再びもどってくるときには、もうすこし、深くあなたのことを理解したい。

 

 

 

↑新しい北京。大望路の華貿かいわい。

 

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コメントルールの補足について。

2008/08/28 11:57

 

■読者の方から、福島のコメントも2回以内に制限すべきとの意見がありました。その点については、読者の要求が多ければ、私としても異論はありません。ただ、読者のコメントの中には、質問形式で、福島からの答えを求めているものも見受けられます。答えられるコメントについては、できるだけ答えたいとおもうので、基本的に答えを求めるコメントを書かれるかたは、自分のブログも開いてください。そうすれば、2回ルール関係なく、そちらのブログのコメント欄に答えを書き込むことができます。

■というわけで
①コメント2回ルールは福島も守って欲しいと思う方は、ご意見ください。

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北京五輪 100年の夢の跡に何がのこったか?

2008/08/27 05:54

 

■本当は25日にアップする予定だった、五輪総括エントリー。楽しかったね。予想に違わずつっこみどころ一杯の北京五輪でした。個人的に一番うけたのは、体操選手の年齢詐称疑惑について、中国人から極めてまじめに、「中国の地方によっては、実年齢に2~3歳を加える数え方をとるところがある」と説明を受けたことです。たとえば1月某日に生まれ、1ヶ月後に旧正月をむかえるとその時点で、2歳だそうです。本当に農村にはそういう習慣があるそうです。もともと、誕生日も不明で、戸籍のない子供もけっこういる世界ですからね。




北京五輪 
つわものどもの夢のあと、には屍るいるい。
国際社会の批判の洗礼を受けて
この屍を乗り越えてゆくのだ!





■17日間の真夏の夜の夢が終わった。難癖をさんざんつけた北京五輪だが、正直、競技のさなかは、美しく鍛え抜かれたアスリートたちの熱戦に魅了され興奮した。陸上界を席巻したジャマイカ旋風や、日本女子ソフトボールの鬼神のような闘いぶり、半魚人フェルプス選手の8冠達成など、つくりものでないドラマは、これほど人の心をゆさぶる。五輪開幕式の視聴率が98%、閉幕式が80%以上。会場に足が運べた人は極めて限られていたが、多くの中国人たちがテレビにかじりついて熱狂したのだろう。


■だが、閉幕式で宋祖英とドミンゴのデュエットを聴いたとき、VIP観客席に、老いたかつての最高指導者の姿をみたとき、私は夢から目が覚めた。ああ、北京五輪は、やっぱり共産党の、共産党による、共産党のための五輪(権力者の権力者による権力者のための五輪)であると。莫大な財を投入し、膨大な人民を動員した今世紀最大のアトラクション。ある人が、こう指摘した。北京五輪をみていると、奴隷に闘わせ、皇帝の寵姫を彩りとし、皇帝の権力を国内外にしめすと同時に、市民に享楽を与えるサーカスとなす、古代ローマの剣闘競技を思い出す、と。


■農村からかき集めた子供たちをステートアマ体制で鍛えあげ、競わし、その闘いぶりで観客を熱狂させ、権力者の力を誇示し、民衆の求心力を高め、国威を示した。奴隷出身の剣闘士(グラディエーター)が勝ち上がれば、皇帝に謁見もできる天下の英雄とあがめられるように、貧しい出身の選手も金メダルをとれば国家の英雄の称号と富を与えられる。奴隷は自由のために、農民は貧困からの脱却のために、自らの肉体を鍛えいじめ抜いて勝たねばならないのである。奇しくもあの「鳥の巣」はコロシアムの形にも似ている、と。


■ローマ帝国の滅亡の背景にはコロシアム建造など、大量の土木工事および建造物の維持費がかさんだことによる財政疲弊もあったことをごぞんじだろうか。ローマ帝国を滅亡に導いたコロシアムをモデルにブリューゲルはかの有名な「バベルの塔」を描いたが、北京五輪の閉幕式でも「人間バベルの塔」が現れた。人がその分をこえて天にも届かんとする塔を築こうとして、神の怒りを誘ったという旧約聖書にある伝説の塔・バベル。だから、それがコロシアムににた鳥の巣の真ん中に現れたとき、いわくいいがたい予感にかられたのである。これは予言夢?総合演出を担当した張芸謀監督のブラックユーモア?


中国新聞社によると、中国はこの7年、五輪ホストの北京市の都市インフラ整備に2800億元かけた。会場建設・拡張費用は総額130億元。うち「鳥の巣」建設は31億元。なんやかんやあわせると、日本円にして5兆円がかかった。ちなみに中国GDPは2007年24兆6619億元(360兆円)。


■「鳥の巣」はじめ五輪用の建築物は普通の建物より維持費がかかる。鳥の巣だけで、メンテナンス維持費に年間5000万元(7億2500万円)かかる(第一財経日報によれば1億3000万元)。水立方は、屋内の気圧を一定にするために通常の3倍の電気がかかり、維持費に年4000万元前後(6億円)、という推計が報道されている。アテネ五輪の場合、30会場の維持費が年1億ユーロ(162億円)前後というから、アテネも傷は重いのだが、四川大地震の復興や、社会保障整備という重大任務をかかえる13億人口の自称・途上国にとって、その負債の重圧はいかばかりだろう?


■都市インフラ整備、環境整備は北京市民が恩恵を受けることになる。だから、少々金がかかるのも致し方なし、というのが当局側の言い分ではある。地下鉄はじめ交通インフラ整備はたしかに、渋滞を緩和し都市機能を高め、長い目でみれば経済発展に有利に働くであろう。


■だが、世界最高建設費の8億㌦がかかったCCTV新社屋はじめ、金ばかりかかり、必ずしも機能的とはいえない建築物はどうだろう?最高の溶接技術を必要とするCCTV新社屋は、鉄骨をつなぎ合わせる段階でずれが生じ、工期が大幅に遅れたという。五輪までに竣工という目標は達成できず、中身が出来ていない状況で表面のガラスタイルをはって、完成したように見せかけた。


■ある建築の専門家はいう。建築物というのは、工程に手順があり、その順番を変えるだけで、設計通りの強度が保てないことがある、と。こういう造り方をされたビルの耐震性などが心配である、と。ある市民は言う。どうせ五輪に間に合わないのなら、見栄などはらず普通のシンプルなビルにすれば良かったのだ。ずっと安価に機能的に安全なビルが造れ、なおかつ余った分の予算を、四川大地震の復興に寄付でもしたほうが、よっぽど公共の利益に合致する、と。CCTV新社屋は建物の重心が、建物の外にあるという前代未聞の構造物であり、その耐震性に疑問を呈する声も多い。



■五輪期間中、株価は11・8%さがった。下がったのは五輪とは直接関係のない、たとえば、非流通株流通化による株の大量放出への懸念や、企業業績悪化、インフレ懸念など、経済先行きへの不安が主要な原因だが、「五輪祝儀買い」がなかった、という事実は、株民8000万人の心情をあらわしている。彼らの多くにとって、五輪の夢よりも、現実に直面する危機の方が切実、ということだろう。胡錦濤国家主席もPRに訪れた人民日報運営の掲示板・強国論壇は、五輪の話題よりも圧倒的に株と不動産の急落の話題で盛り上がっていた。


■そういった経済の先行き不安や財政面の危うさを隠すかのように、ことさら絢爛におこなわれた北京五輪は、IOCのロゲ会長に「くらぶものなし」と言わしめたが、中身のできていないビルの表面にタイルをはり完成したかのようにみせかけのと同様、開幕式の口パク少女の歌声同様、良いところをつぎはぎし、完璧のようにみせかけるのと同様、「見せかけ五輪」「擬装五輪」ともいわれた。



■さらにいえば、五輪招致時に約束された人権、報道の自由拡大も、表面的につくろうばかりで、その本質は改善するどころか悪化した、という実感がある。デモ専用公園を3カ所もうけ、民主化の推進ぶりを標榜するかとおもえば、実は77件あったデモ申請をすべて却下するだけでなく、デモ申請者を逆に「社会秩序を乱す」として拘束した。一部のデモ申請者は期間中、北京から離れるよう命令された。ネットのアクセス禁止は確かに一部解除され、香港紙や台湾紙がネットで閲覧できた。たが、グーグルの用語検閲は、以前にもまして厳しくなり、使い続けるとIPアドレスの取得を拒否されることもしばしばだった。携帯電話の強制遮断は、信じられない多さだった。中国国内メディアは、五輪マイナス報道を禁ずるとの通達を受け、新華社に準じた報道を強いられた。外国記者の取材を歓迎するという建前とは裏腹に、取材妨害は激しくなり、五輪期間中30件以上の記者の一時拘束を含む取材妨害があった。「フリーチベット」の旗を掲げるなどした10人の外国人が拘束されたうえ、国外退去処分になった。


■列に並ぶといった文明的なマナーなど北京市民にのこした精神的遺産は大きい、と人民日報はうたったが、20数万の動員された市民による「文明拉拉隊(模範的チアリーダー)」の応援は、けっして文明的でなかった。タダ券で一等席を大量に占める拉拉隊の空気のよめない応援こそ、「スポーツ観戦」という楽しみを、真のファン、市民から取りあげた無礼・無粋な張本人だったといっていい。テニスの応援ではサーブのときに「加油!」とかけ声をかけるマナー違反を平気でやり、応援していた自国選手から「シャラップ!」ど怒鳴られるしまつ。しかも、応援側はその選手に逆ギレして、ネットでは罵詈雑言があふれた。


胡錦濤国家主席は五輪開幕直前の記者会見で、五輪への莫大な投資は、「価値があった」、と高く評価した。だが、宴が終わって、夢からさめると、目の前には屍るいるい、荒涼とした風景が広がっている感覚である。金をかけて作り上げた街並みは張りぼてだし、労力を注いで育てた文明的マナーは付け焼き刃で、株も不動産も下がり続け、上半期だけで6・7万の中小企業が倒産する経済停滞がはじまりつつある。そして国際社会の目からも隠しようもなく露呈した少数民族問題、社会不満の深刻さ。


■五輪閉幕翌日の25日の人民日報はじめ、中央紙の見出しはみんな同じで、
「第29回オリンピック大会北京にて円満閉幕」
「より早く、より高く、より強く楽章をかなで、団結友誼和平絵巻を描いた」と
胡錦濤国家主席の写真つきで報じた。しかし、いち早く夢から覚めた庶民は、これをしらじらしく感じている。強国論壇のには、「まるで文化大革命のころの新聞」と揶揄する書き込みもあった。


■結局、五輪は中国になにをもたらしたのか。膨大な資金と労力を注ぎ、人民を動員し厳しい規制をしき、外国の要人と金持ちと共産党VIPに見せるためだけにお祭り騒ぎをし、合計100個のメダルを獲得しただけ、なのか。


■私はあるベテラン中国人記者に、率直に上記の考えをぶつけてみた。冷静で多様の見方のできる彼はこう答えている。


■「動員と規制の中で行われた五輪は、結局、中国に当初期待されたようなプラスの影響を与えられなかった。しかし、一党独裁の国家が行う五輪は、こうならざるを得なかったことは、はじめから人民も含めて皆、分かっていた。分かっていなかったのは国際社会だけである。

■ただ、中国共産党にとって良かったことは、自ら正しい、すばらしい、完璧だと思って、満を持して実行してきた五輪の準備と運営が、かくも国際社会から叩かれたことである。国内の人民は、党のやり方がおかしい、と思っても、逆らっても無駄という諦観もあり、党のやり方に対し面と向かって罵声を浴びせるものはいない。だが、国際社会には、一般の観光客から指導者にいたるまで批判の声があった。そのことは、中国の指導者にとってかなりショックであったと思われる。とくに、最初の大ショックは、聖火リレーの妨害だろう。


■正直、これほど短期間に、多様な批判を面と向かって受けた経験は初めてである。もし、五輪が中国にもたらしたものは何か、と問われれば、この面とむかった批判の洗礼の経験である。この経験は、すぐに中国を変えることはないだろうが、じわじわきいてきて、あとからみれば、やはり五輪は中国の自由化、民主化、国際化を推進した、と言われるようになるのではないか」

■国際社会からの批判を雨あられと受けた北京五輪中国はその経験を糧とすることができるのだろうか。そして、夢の跡地に野ざらしになった諸問題に真摯に向き合うことができるのだろうか。北京五輪中国にもたらしたものの価値は、そのときにやっと判明する。




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中国は日本選手をどう報じているか⑤

2008/08/24 00:24

 

■きのうは男子400㍍リレーの銅で気分が高揚していましたが、きょう星野ジャパンが米国にやぶれ、シンクロチームもメダルを逃し、ちょっと低調です。あすで五輪もおわりですかあ。長かったような短かったような、真夏の夜の夢がおわれば、福島は帰任準備です。さて、引き続き、中国メディアやネットが、日本選手をどう報じているかをご紹介。


■まず、星野ジャパンの惨敗について。

新華社:北京8月23日 米国野球チームは23日8対4で日本をやぶり、北京五輪野球で銅メダルを獲得。野球は次期五輪以降、正式種目からはずされるため、五輪史上最後の銅メダルである。

 アジアのチャンピオン日本と北米チャンピオンの米国が三位を争うこの試合、序盤は力が拮抗し、ホームラン合戦となった。日本・荒木雅博選手が一回目、本塁打で先制点。つづいて米国のラポルタが本塁打。3回目、青木が本塁打で日本は3点を得たが、米国も本塁打でまた3点追加。(中略)

 金メダルのために来た、という星野仙一監督は、試合後、こう語った。「多くのファンがわれわれの金メダルを待っていたのに、銅メダルすら持ち帰れなかった。本当にめんぼくない。このような困難を経験したのは初めて。日本チームの選手はもっと実力をあげなければ、ライバルたちを倒せなかった」

 米国のジョンソン監督は「このチームの実力は決して米国の野球の本当のレベルではない。野球は米国でもっとも金になるスポーツ。このため、もっかプロ野球リーグの試合のために、多くのスター選手が五輪に参加できなかった」と語った。
(以上)


■金色のメダル以外は欲しくなかったという星野ジャパン。対韓国戦の敗北で、すでに終わっていたのかもしれません。それより、韓国野球チームはキューバを下しての初の金。これってすごいんじゃないか?新華社が次のように報道。


新華社8月23日、韓国チームは23日の野球競技で、3対2でキューバの優勝をはばみ、金メダルをとった。キューバは銀。これは1992年に野球が五輪種目に入って以来、アジアチームによる初の金メダルである。

 韓国チームの北京五輪の成績は、予選から決勝までの9戦中全勝という東方不敗神話を成し遂げた。過去4回の五輪で、韓国は銅を1回とっただけで、今回の台頭はまさに野球界の奇跡といっていい。

 常勝キューバは1992年以来、4回の五輪で、3つの金と1つの銀をとっており、五輪野球で覇者の地位を長期にわたり独占していた。予選から決勝までの9戦中、キューバは2度の敗北をきっしたが、ともに韓国が相手であった。(後略)(以上)

五輪最後の試合で有終の金!新華社はアジアの勝利として報道してました。


■星野ジャパンの準準決勝の対韓国戦については、易網の掲示板にこんな書き込み。

韓国チームの柱は、日本のプロ野球チームで活躍している韓国人だ」

「日韓戦で日本チーム弱点が暴露された。打線の力不足だ。だから、終始、打開しがたい局面にあっている。日本チームは今後、自分たちの弱点を克服せねばならない。この試合で最後にリリーフにはいった涌井秀章はやっぱり優秀だ。厳しい状況で非常に沈着。最後の失点は主に外野手の消極、怠慢な戦いぶりによるもの。監督は、選手の心理状態を調整できなかったことに一定の責任がある」

「日本人よわすぎ、これで野球大国を名乗るなんて、顔色無しだ」

■シンクロのチームは中国が初の銅でした。これは、日本の井村雅代コーチによる指導のたまもの、という認識が強く、井村さんについて中国新聞社がこんな記事をながしていました。

中国新聞社:8月23日:「井村雅代、夢はまだならず、その去就は謎」

 苦節20年あまり、中国シンクロの五輪メダル獲得の夢がきょう、かなった。日本のシンクロのゴッドマザーこと井村雅代は試合後、興奮の中で言った。「私の目標は達成したが夢はまだ終わっていない」

 五輪後の井村の去就についてはまだしばらく謎である。

 伝統的強豪の日本が一角を長きにわたって占めていた鉄のトライアングル。井村の助けによって、中国シンクロの実力は日本と互角となり、中日戦が今回の五輪の最大のみどころであった。

 当然ながら、日本シンクロ界の重鎮にして現在は中国のヘッドコーチである井村は、中日シンクロの複雑微妙な関係において注目の人物であった。毎回試合後、彼女は大勢の中日の記者に囲まれていた。(中略)

 きょうのチーム決戦で、中国チームはついに日本をこえ、銅を獲得。井村は競技後にこぼれる笑顔で、選手ひとりひとりを抱きしめ、「中国娘たちは、きょう、完全にもてる能力をすべて発揮した。私はとても満足だ」と語った。抱き合って泣く選手たち、コーチ、記者にまで、井村は終始笑顔で、「泣くのは早いわ、きょう、私は目標を達成したけれど夢はおわっていない」と語った。井村の心の中には、ずっと打倒ロシアをふくめ、勝てない戦いはないという信念がある、とこのとき人々は悟ったのである。


 事実、中国チームのコーチに入ったとき、井村はこう漏らしたことがある。「私は金メダリストのコーチになりたい」「中国での仕事でトップを極めたい」

 しかし井村も「シンクロは極めてハードルの高い種目。技術だけでなく美的感覚は、審判の主観によるものだから」ということは分かっている。

 井村のきょうの発言は、人々につぎのような観測をもたらしている。「夢がまだ成就していない、というなら、ひょっとして中国チームを率いて本当の激情のときを待つのではないか」と。これが、ウォーター・キューブにおける最後のなぞとなった。(後略)


中国チームを率いて、井村雅代氏が日本で出来なかった打倒ロシアの戦いに挑むというのでしょうか。中国という国は確かにとんでもない可能性を感じさせる人材がいますしね。


■ちなみに、強国論壇(ネット大型掲示板)に井村氏に関するスレッドがたっています。
「日本コーチが中国チームを率いて祖国を打ち破った。そのプロフェッショナル精神に敬意を表する!」

「日本の郎平か!」
「シンクロのコーチは中国国籍に帰化していないよ」
「狼(郎)平は中国人じゃない!」
「のうたりん!国籍なんか重要じゃないんだよ。ベチューン(八路軍の軍医)も中国籍じゃないし」

米国バレーの郎平監督については「狼平」「売国奴」などと罵詈雑言を浴びせている中国人ですが、井村氏はプロ精神と持ち上げているのですから、すごいダブスタ。もう、こういうところが中国人らしくていいですね。日本には井村さんを売国奴とか言っているネチズンいるのかな?2ちゃんねるはそういうスレッドがたっているようですが、天下の人民日報運営の巨大掲示板と2ちゃんねるが同レベルというのは…。


■日本の400㍍リレーについては、ジャマイカ旋風の記事の中で、ちょこっと報道。
「日本チームは38秒15の今期最高成績で銅。アジアがこの種目で表彰台にのるのは初めて」(南方都市報)と。中国のこの五輪における報道は、アジア意識を結構前面に出しているのが特長ですね。


■メダルの色は、結局、あまり重要ではないですね。そりゃ金は嬉しいですが。その戦いの様子や背景にドラマがあって、ああ、すごい!と感動できれば、福島は満足です。



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突然ですが、コメント欄の投稿にルールを設けることにしました。

2008/08/23 18:18

 

■読者の皆様、毎回のおはこびありがとうございます。いろいろとコメント欄がもめているようなので、今後のコメント投稿について、ひとつだけルールを設けたいと思います。コメント投稿はお一人さま2回までとさせていただきます。1回の投稿は1000字までなので、主張したいこと、いいたいことを良く整理してくださいませ。3回目以降は問答無用で削除いたしますので、主張が長引きそうな場合は2回目のコメントで読者を各自のブログに誘導し、続きを書くなり、議論を展開されるようお願いいたします。福島に読ませたいことはトラックバックしていただければ、必ずまいります。罵詈雑言、誹謗中傷はおひかえください。

■多くの読者がきもちよく交流できるよう、お互いに配慮しあうことにしましょう。では、今後とも北京趣聞博客を、よろしくおねがいいたします。

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中国は日本選手をどう報じているか④

2008/08/22 15:53

 

■昨夜はソフトボールの大金星に、北京在住アラフォー(40歳前後)女性で午前2時ごろまで祝杯をあげておりました。今朝は、世界一カッコイイ女、上野由岐子選手みたさにジャパンハウスへ。マウンドの彼女は本当にカッコよかった、しびれたの一言につきました。今回の金メダリストの中で、最高の英雄は、男性では北島康介選手、女性では彼女といっていいのではないでしょうか。(でも、他の選手にはマネさせたくはないですね。肩やひじを壊すのではないかと、はらはらしました)。そんなかっこいい、女子ソフトチームですが、メダリストステージの彼女たちは、白い歯を見せてのニコニコ顔で、女子高生をそのまま大人にしたような風情。キュートな感じでした。




■さて、強豪アメリカを、粘りと気力でねじふせた日本女子ソフトボールチームの活躍は中国メディアの目にどう映ったのか?をちょっとみてみましょう。


■「日本ソフトボールチームの心の声:結婚より金メダルが重要、三代の夢実現」

騰訊体育:8月22日、、日本ソフトボールチームの娘たちは艱難辛苦の努力を経てついに北京五輪で金メダルを奪取。しかし、この金メダルの背後には、数多の辛酸が凝縮されているのである。


斎藤春香監督:金獲得は結婚より重要
斎藤が最初に五輪に参加したのは、ソフトボールが五輪正式種目になったアトランタ大会で。当時彼女は4番だった。そのご、シドニーで銅メダルを獲得。斎藤はその後、監督になり、北京五輪までずっと競技場の居続けたのである。小学生のとき、斎藤がもっとも好きだったのは、父親とのキャッチボール。中学に入り、ソフトボールを始めた。1・70㍍の恵まれたからだと頑強な気力、斎藤は非常に優秀なソフトボール選手にと成長。アトランタでは、3ホーマーを叩いた。倶楽部に所属の応援団長桐越信一はいう。「斎藤はすでに自分の打法をさがしあてた、この一点において比肩するものはない」。独身の斎藤はいう。「もし出会いがあれば、私も結婚したい。しかし、今は心は全部五輪の金の上にある。」、ついに彼女は願い通りの金を得て、チーム全員から担ぎあげられ祝福を受けた。すべての努力は、その価値があったのである。


上野由岐子ソフトボール人3代の宿願を成就した・
 上野については、日本ソフトチームの前任監督、宇津木妙子の時代から語りはじめねばなるまい。宇津木は鬼監督と称される厳しい指導者。宇津木はかつて、中国で、天才・任彦麗を発掘、十代の任彦麗を熱心に指導し、1988年、25歳の任彦麗を日本に連れ帰り、共同生活を開始。任を育成するため、宇津木は結婚もしなかった。任彦麗はシドニーで銀をとり、この恩師の母にも似た情に報いたのである。任彦麗はその後、日本国籍をとり宇津木麗華と改名。引退したのち、麗華もチームの育成に尽力した。上野はその宇津木麗華が育てあげた弟子である。

 決勝前、麗華は上野に電話し、「2人できたこの4年の努力を思い出し、がんばんなさい!」と言ったという。マウンドでの上野は出色のできで、120㌔近い投球をもちいて、日本の勝利を導いた。決勝のとき、宇津木妙子は感激で目に涙を浮かべ、「非常に嬉しい、これはみながまちにまった金」。試合を観ていた麗華は感激にふるえて「人生でもっとも嬉しい日。上野はすばらしかった」恩師が涙しているのをみて、「シドニーもアテネも金に届かなかったが、彼女が泣くことは無かった。今回はうれし泣きです」。宇津木妙子から麗華、そして麗華から上野へ、監督と弟子の間の金メダルの夢は、麗華の故郷で実現したのである。

西山麗:病魔と闘った勇者
 西山麗は、うまれて一ヶ月目で重い心臓病と診断され、過度の運動が死に至る可能性があった。しかし、西山は子供のころから体育の才能があり、バレーをはじめ、中学校にはいると、バレーよりは運動量が少ないソフトボールを選ぶ。14歳 のとき、西山は8時間に及ぶ心臓移植手術をうけたとき、見舞いにきた斎藤春香監督から「一緒に五輪にいこう」と励まされた。このひとことが、10年来、西山の人生最大の夢となった。北京の試合場での娘のがんばりに、西山の両親はスタンドから祈りをささげていた。「彼女の病はまだ危険がある。しかし、私は娘の夢を奪おうとは思わなかった。ただ、娘のそばで支えてやりたい」。今、西山は子供のときに彼女を励ました斎藤監督のもと、金を奪取した。これは西山の最大の夢、つまり「世界のすべての子供たちに希望を与える」ことを実現したということである。

山田恵里:チームの女イチロー
 山田は子供のころから、2人の兄と一緒に野球の練習をしており、中学校になって野球チームにはいった。チーム唯一の女の子だった。1998年、山田と両親は一緒に甲子園に試合を見に行き、非常に興奮。「私も試合にでれたらいいのに!」といったという。しかし、彼女がいかに努力しょうと、甲子園に女子が出たためしはない。そこで山田はソフトボールを始めた。高校2年のとき、テレビで、日本ソフトボールチームのシドニー五輪銀メダル獲得の試合をみた。これで、人生の目標が定まった。「私も五輪に出る」。そのご、訓練中に鼻の骨を骨折するなどもしたが、たゆまぬ努力を続け、今、山田はその出色な技術によって、ソフトボール界から「女イチロー」と賞賛されるまでになった。

 22日夜、ソフトボール決勝戦は、日本関西地区の平均視聴率30・6%。瞬間視聴率は47・7%に。これはすでに2004年のアテネ五輪のときに男子柔道60㌔級三連覇の野村忠宏の試合の一瞬の瞬間視聴率43・7%を超えている。

■↑中国とのからみもあって、丁寧に人物紹介しています。


左から上野由岐子選手、山田恵里選手、斎藤春香監督



■もういっこ、紹介。新華社報道。
ソフトボール、番狂わせ!」
 新華社8月21日:北京五輪ソフトボール試合の結果は少なからぬ人にとって意外だった。米、日、豪、中の四強の長期に変わらなかった局面が打破されたのである。

 9日の死闘をへて、北京五輪ソフトボールチーム試合はすべて終了。21日の夜に行われた決勝戦で、三期連続王者の米国の不敗神話は日本に軽々とやぶられたのである。その夜、米チームは序盤に王者の気概をたもっていたものの、のこる6回でゆさぶられ、最終的に3対1で日本に負けた。

 (中略)

 北京五輪での、勝負の変数は、ソフトボールの新しい局面のひな形をみせた。米日の地位逆転、中国チームの早々の敗退。アトランタの銀後、2回の五輪で4位をたもっていた中国チームは五連敗で、4強には無縁であり人々を悔しがらせると同時に、中国女子ソフトの没落を暴露した。 

 北京五輪の番狂わせは、人々にソフトボールのあらたな力を認識させたかもしれない。「もし、米国の金メダル独占状況がおわりをつげるとしたら、ソフトボールは再び五輪に帰ってくるかもしれない」と。(中略)米国ジェシカ・メンドーサは、こういう。「今、ソフトは五輪にとどまるべき証明ができた。ソフトボールは米国のものではなく、世界のものだから」

 「日本にしてみれば、これは単なる一回の勝利ではない。ソフトボールチーム種目の五輪復帰に対し積極的な作用がある」と日本チームの斎藤春香監督はいう。日本の勝利は二つの意義がある。さらに多くの人のソフトボール参与を刺激、促進するだろう。
 斎藤春香の言葉は疑いなく、世界のソフトボール局面の変化を好意的に解釈したもので、米国が金独占するまいが、、中国チームが没落しようが、ソフトボールは局面の変化の中で生まれ変わり活力を得てゆくのだと。 

↑そこはかとなく、中国の敗退に悔しさをにじませつつ、米国の不敗神話をやぶった日本チームの勝利の意義を強調。

■もういっこ。体壇週報
北京五輪、女子ソフトボール絶唱。日本はついに米国ソフトボール神話を終わらせた」
8月21日、日本女子球技はひきこもごの一日であった。女子サッカーはドイツの敵になれず、メダルの夢実現ならず。一方で、日本ソフトボールは、3対1で強豪米国をねじ伏せ、金メダルの夢を実現…。(中略)

日本の先発投手はチームのエース、上野由岐子。上野の投手としての責任は重く、終始力投の連続であったが、疲労の様子をみじんもにじませず。日本は3回攻撃で、試合の均衡をやぶり、三科の2塁打で、狩野の安打で1点先取。つづく4回で山田がホームラン。2対0で、完全に試合のリズムを掌握した。(中略)

 試合終了の笛が鳴り響き、勝利の最大の功労者、上野はチームメートに高く掲げられ、誇らしげに指を一本たて、ナンバーワンのジェスチャー。スタンドの両親は、喜びのあまり抱き合っていた。父親・正通は興奮して言う。「金メダルをとるとは思わなかった」母親の京都は「娘はがんばるとわかっていた。私たちの誇りです」と語った。
日本は、北京五輪で3度米国とあいまみえ、予選と準決勝戦で、米国には負けていた。これが日本の信念を支え続け、決勝において、夢にまでみた金メダルを勝ち取ったのである。(後略)





中国ネットユーザーのニュースに対する掲示板の反応はみつかりませんでしたが、個人ブログでの取りあげ方を紹介。

■個人ブログ「無言在西楼上」より。きっとソフトボールファンの子なんだな。

「きょうは中国と日本のソフトボールの試合です。上野由岐子がなげるんだよ~。彼女、私が一番すきな選手のひとり。だって世界で一番早い球なげるんだよ~。最速120㌔。でもって防御率55前後。身長だって172㌢。彼女と呂偉が一番注目の選手だよ。きょうは(中国が)まけちゃったけれど、上野がみれて満足だ~。中国はのぞみなしかな~。日本は中国とは違った意味で好きなチームなんだよね。米国とちがって、力量型じゃなくて、アジアの典型の戦術型のチームなのさ~」(後略)




■ところで、話がかわりますが、北京青年報がひさびさに大ちょんぼやっています。
シンクロデュオの中国代表の蒋文文と蒋婷婷を紹介する記事の写真が、なんと日本の代表、鈴木絵美子原田早穂ペアの写真とすりかわり。編集局長は減俸でしょうか?でも、あきらかに水着ちがうやん!(顔も双子なのに違う)


北京五輪の双子特集で、なぜかトップに、鈴木・原田ペア。

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北京は劉翔パニック!

2008/08/18 19:47

 

■アテネ五輪陸上ハードル110㍍金メダリストで、中国の誇り、劉翔選手が棄権しました。テレビでその瞬間がながれたとき、携帯電話メールでその悲憤を友達につたえた中国人はいったい何億人いたでしょうか?そのくらい、中国人民のショックはすごいものでした。中国人は、北島康介を日本の劉翔とよび、韓国の朴泰桓を韓国の劉翔とよび、とにかく欧米人が主流を占める分野でアジア人で活躍した選手はみんな劉翔。
劉翔は普通のゴールドメダリストとはわけが違います。その人が棄権したわけです。
コーチの孫海平は顔を覆って男泣き!

■理由は、発表によると、アキレス腱末梢病(?)で、非常な痛みがあるとか。しかし、多くの中国人はそれを信じていません。ある中国人の知人が電話口で憤慨していました。「金儲けばっかりして、練習をぜんぜんしていないから、勝つ自信がなかったのよ。メダルがとれないと、格好がつかないから、戦う前に逃げたんだ!」。


■ネット掲示板をざっとみると、この棄権、劉翔、敵前逃亡説を信じる人も、結構おおいのです。本当に、劉翔、暗殺されるんじゃないか、と心配するほど、激しい罵詈雑言も。そのいくつかをちょっと紹介。

■強国論壇から。
「あの小僧は、はやくからもうダメだったんだ。でも国民を騙して、広告(CM)費をいっぱいかすめとって。さっさと引退しろ!」

「広告ばっかりかせいで、本業は廃業か?体操の某みたいに、金メダルの宴会料理でふとりすぎたんじゃないの?」

「さっさとけがのことを公開しなかったせいで、多くの広告主がなかされたんだ。やっぱり、ただのごうつくばりだよ」

「どうして広告にでるときは、けがしていないの?説明してよ!」

「姚明はけがしても試合にでたよ。劉翔は逃げるのか。」

「われわれを騙そうなんて許せない。ケガは前からわかっていたんだろう。いまは安っぽい芝居をしているだけだ!」

「どうりで、五輪前に広告で稼ぎまくっていたわけだ。もう、これが最後の(稼ぎの)チャンスだと早くから分かっていたんだろう」

「観衆にむかって、あやまることもせずに、退場するなんて!」

「ケガがそんなにひどいなら、どうして彼を五輪に出した。このような安芝居は、国民が愚弄され、騙されたような気がする。テレビ画面は世界数十億人がみているのだぞ。彼に対する組織管理はどうなっていたんだ?劉翔のけがが仮病だとは疑わないし、ケガをおして競技に参加しろとも思わないが、こうした棄権の仕方はひっじょうに遺憾だ!」

「広告のオファーに対しても、ケガを理由に断るべきだった」

「10年間、国家がお金をかけてお前を育て、お前の金メダルで、国民は名誉と奨励をお前に与えた。それを利用して、おまえは広告で稼ぎまくり、上海に1000万元のマンションをかい、練習を理由に、いろんな便宜を図ってもらい…。そしてこの大切なときに、国民をだましたんだな。お前は早くから、もう自分はだめだということがわかっていたんだろう。この数年、なにやっていたんだ?広告のためにあちこととびまわって。もうおまえは選手ではない。テレビタレントだ。けがしてなくても好成績はおさめられない。だから…」

株価の急落がつづくなか、株民のいらだちも劉翔にぶつけられていますね~。

新華社が、劉翔は神ではない、棄権に理解を、と異例の論評でよびかけたおかげもあって?劉翔の境遇に同情し理解を示す声もあります。ネットアンケートでは、50%が、「けがだからしかたない。理解できる」と答えていました。(人民ネット)。でも43%は理解できない!でしたが。慰め・同情の書き込みにはこんなのも。

「劉翔だって、人間さ。鉄人じゃないんだ。」
「わかるよ13億人の期待を一人で背負うなんてできないよ」
「勝っても愛している。負けても愛している。永遠に愛している!」
「孫海平!全部お前のせいだ。おまえが、劉翔をしごき倒して、彼の体調に関心を払わなかったせいだ!」…。
「次はパラリンピックで金メダルをとればいい」←慰めになってません。

■五輪選手というのは、ぎりぎりのところまで自分の体を極限までイジメ倒して、記録を出してゆくのだとおもいます。その調整の過程で、ケガをおい、肝心の試合にでれない、という事態は、実際ある。練習のしすぎで負傷し、金が期待させれていたマラソンの野口みずき選手、25㌔地点で、足の痛みを訴えて棄権した土佐礼子選手も。


■ただ、日本人が、棄権した選手をここまで責めるのはめったにないですよね。土佐選手がリタイア寸前で苦悶の表情で走っているとき、沿道の日本人は、「もういい!がんばらなくていいよ!」と悲鳴のような声をあげていました。負傷棄権で、もっとも悔しいのは選手自身ということを知っているので、やはり、観客としては、残念がっても、そこで選手を責められないです。


■劉翔が、ここまで、非難されるのは、やはり傍目にみて、コマーシャルやテレビにばっかりでて、こいつ、ちゃんと練習しているの?という疑問がみんなにあったからではないでしょうか。劉翔のCM出演料はことし、1億6000万元で前年比倍増、との情報がながれていました。劉翔にかぎらないですが、中国では「命」の短いスポーツ選手は、人気がでてスポットライトがあたったときが、「稼ぎどき」とおもって、がんがんテレビやCMにでて、稼ぎまくる人が多い。とくにサッカー選手などその傾向が顕著です。そうすると、練習不足、調整不足で成績が出せず、もともとメンツにこだわる人たちなので、そのどん底にきたとき、すぐ努力を放棄してしまう。そういうパターンが多いように見受けられます。また、劉翔って、横柄、傲慢な感じのキャラなんですよね。成績がともなっていると、そういうキャラは受けますが、成績が出せないと逆にバッシングが強くなる。
同じ傲慢系キャラクターの問題児に、飛び込み女子の郭晶晶選手がいますが、彼女は、2大会連覇で女王の風格を見せつけ、逆に人気が高まりました。


■ところで、アテネ五輪で金をとり、北京五輪でまた金をとった選手は、インターバルの4年の間に、どん底というか長いスランプを経験した人が多いように見受けられます。内柴正人選手しかり、北島康介選手しかり。郭晶晶も、さんざんメディアにバッシングされましたし。内柴選手が会見でいってましたっけ。一番ドラマをもっている人間が五輪で金をとる。その資格があるのは私だ、と思って挑んだ、と。さて、今回、どん底におちた劉翔選手は、ロンドン五輪で再び金に返り咲く、というドラマの主人公になりうるか?私はアテネで「私はアジアの代表だが、その中に日本人は含まれない」という名コメントをはいた劉翔は、正直いって嫌いですが、この状況から不死鳥のように蘇ったとしたら、文句なしに感動してしまいます。とにかく、復活を祈ります。


■産経の沿道取材を手伝ってくださった学生ボランティア、山本茉莉枝さんが、土佐選手がくずれた現場に居合わせており、こういう熱い写真を撮影。「土佐選手もないていました~。日本の応援の人も、もういい、十分がんばったから!といってました」とのこと。北京五輪マラソンは82人が参加し棄権が13人!路面の堅さが一定せず、足に負担がかかるほか、曲がりくねって走りにくい部分もあったとか。あんなに気温が涼しく(23度)、アップダウンのないコースでこんなに棄権がでるとは驚きです。





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中国は日本選手をどう報じているか③

2008/08/14 22:09

 

■フェンシングで銀に輝いた太田雄貴選手について、新華社がこんな、丁寧な人もの記事を配信してました。ヨーロッパ優勢の競技でアジア人が勝つ、というパターンの場合は、中国人もナショナリズムよりアジアの一員としてのアイデンティティを感じるようです。かなり好意的です。


■「太田雄貴、日本から来たゾロ」

新華社8月13日電
(前略)日本選手の太田雄貴は13日北京五輪の決勝でドイツ人クライブリンクに負けたが、銀を勝ち取った。これは日本フェンシング界の五輪における突破を実現したことになる。
 
 22歳の太田は子供のころ、怪傑ゾロをみて、ゾロのような剣士になりたいとフェンシングの道に。(注:ゾロをみてフェンシング始めたのは太田選手のお父さん、会見で聞き間違えた?)小学3年のとき、父は彼のために子供用の練習用の剣を買い与え、このときから練習を開始した。太田は試合後の記者会見で、「銀メダルの獲得について、まず父母に感謝したい。彼らがはげましてくれたからこそ、私のきょうがある」と語った。

 日本のフェンシングはまだ発展途上であり、太田が練習を努力しても、彼の技術をレベルアップするたすけとなる好敵手がいない。彼の父親はこのため、日本中を駆け回って、彼の練習相手をさがしたという。太田が高校にはいってから、技術は急激にのび、日本のトップとなった。2004年はアテネ五輪に参加し、9位だった。


太田はアテネ五輪後、ドイツにいって特訓。彼は背は低く、1・71㍍しかないが、動きは極めて速い。最近の二年、太田の戦績は猛進していた。2006年、ドーハのアジア大会で韓国の李天雄選手に勝ち、28年ぶりに、日本の男子フェンシングに金をもたらした。2007年、アジアフェンシング大会で中国の黄良財選手と決勝をたたかい、アジアナンバー1となった。2008年も中国の雷声、朱俊を次々やぶり、アジアの優勝者となった。

 太田は非常に練習に励み、彼は努力こそ、結果を生むと信じている。普段、練習を中断することがないだけでなく、修学旅行にいくときですら、剣を携えてゆくという。彼の風采はあがらないが、ともかく、剣客としての魅力はすでに美女たちの心を捉え始めている。日本TBSテレビの高田百合子キャスターは、彼に惚れ込んで、公開の場で「剣を握っているところは、まるで王子様みたい」と賞賛している。
(以上)

新華社とは思えない、ミーハーな原稿でした。でも、太田選手の風采があがらないというのには反論したいですね。記者会見にいってきましたが、なかなかイケメンでした。
太田選手に対する、中国ネット世論の反応ですが、見つかりませんでした。中国でもフェンシングはマイナーなスポーツなのでしょうか。日本は太田選手の銀で、フェンシング人口が増えるかもしれません。」


■次に、マラソン女子の野口みずき選手の欠場についてはどのように報じられているのかみてみましょう。

■人民ネット:2004年のアテネ五輪女子マラソンの金メダリスト、日本の名将野口みずきが左ももを練習中故障したことにより、練習を完成させることができず、今回のレースを棄権せざるを得なくなった。JOCの福田富昭団長がきょう、あきらかにした。野口みずきは「棄権は非常に遺憾。他の日本選手の幸運を祈る。私の棄権により、彼女らに大きなプレッシャーがかかると思う」とのべた。
(中略)
 
日本チームは五輪の女子マラソンにおいて、シドニーでの高橋尚子の金からすでに二回連続で金をとっているが、野口は今回も金メダルの獲得をのぞんでいた。世界記録保持者の英国のラドクリフ、世界大会の優勝者、ケニア人のヌデレバ、そして、地元で戦う周春秀らがみな、金を狙うことになる。

■新民晩報:(前略)野口の故障欠場、これは周春秀にとって主要なライバルが一人消えたという意味である。しかし、周のコーチ、梁松利に電話取材したところ、少しも興奮しておらず、「野口の欠場は周春秀にとって、必ずしもよいこととはいえない」という。
梁コーチの分析では、野口が出場する北京五輪の女子マラソンはハイレベルの戦いになる予定だったが、野口の欠場で、首の失った竜の群のように、混戦の局面が予想される。周が、優勝の有力候補と見なされるのは当然で、他の選手は周をマークして走るだろう。そうなると戦術運用が複雑になる。周は積極的な戦術を準備しているが、今の状態はとくに良くも悪くもない、という。(後略)


■野口の欠場で、にわかに周春秀選手への期待がたかまっているようです。ですが、この事自体は、周にとって大歓迎、というわけでもなさそう。野口あり、で戦術を考えていた選手は、いそいで修正しなくてはならない、というわけです。


■しかし、野口欠場記事に対する中国人ネチズンのコメントをみてみると、

「グッドニュース、周春秀、がんばれ!この金はあなたのだ」

「興奮剤使ったのがばれたんじゃないの?」←「ちょっと、あんたのせいで中国人がメンツつぶすよ」

■ところで、日本も中国も、女子の活躍が印象にのこる一方で、男子がいまひとつぱっとしませんね。柔道男子の鈴木桂治選手の敗退を、中国は次のように報道。

新華社鈴木桂治 意外な敗退。日本男子柔道は谷間に陥った。
(前略)日本男子柔道は連日、メダルと無縁の運命に陥っている。(中略)日本柔道チームは状態は良好で安定した鈴木が金を獲ると思いこんでいた。しかし結果はかえって人を失望させることに。三日間、日本男子柔道はメダル無しの谷間を徘徊しつづけている。

■ネット上ではこんな意見が。
「非常に正常なことだ。自分の国のお家芸で、必ずしも覇者で居続けるというものでもない。韓国のテコンドーもそうだし」
モンゴル優勝とは良かった。小日本でなけりゃそれでいい」


■しかし、今回のネット世論は、確かに日本をけなす書き込み少ないですね。別に期待しているわけではないですが。党の指導のおかげでしょうか。あるいは、関心はもはや反日ではなくて、ともどもなく転げ落ちる株価だとか、物価高なのでしょうか。



フェンシングで日本に初の五輪メダルをもたらした太田雄貴選手
新華社は風采があがらない、と報じたが、結構イケメンではないか?

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